令和7年3月成田市議会定例会の開会に当たり、令和7年度の施政方針と所信の一端を申し上げ、議員各位、並びに市民の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げる次第であります。
本年は、私が市長に就任してから19年目となり、5期目の折り返し地点を迎えました。5期目の市長選挙において掲げた「進化するまちづくり」、「強い地域経済の確立」、「命と健康を守る医療体制」、「全世代への福祉と教育の充実」、「世界最先端の空港へ」、そして「環境先進都市の実現」の未来に絆ぐ6つの政策の実現に向け、今後も引き続き、各種施策について推進してまいります。
さて、昨年、本市は市制施行70周年を迎え、「人を繋ぐ 歴史を繋ぐ 未来へ繋ぐ みんなの成田」を基本テーマとして、さまざまな記念事業を開催いたしました。
4月には、市内の山車や屋台が一堂に会する成田山車まつり、7月には、市内在住の高校生を対象とした、アメリカの航空機メーカー「ボーイング社」の工場視察ツアーや、市内在住の小学生と保護者を対象とした、奄美大島での自然体験ツアー、そして10月には、70周年記念ロゴマークを施した航空機による遊覧フライトなど、「成田ならでは」といえる事業を実施し、多くの市民の皆様にご参加いただきました。
また、将棋界で最も歴史のあるタイトル戦である「将棋名人戦」など、全国的に注目を集める事業も実施し、多数のメディアに取り上げていただきました。
11月2日には、市制施行70周年記念式典を挙行し、東京オリンピック及びパリオリンピックにおいて金メダルを獲得した、本市出身の橋本大輝選手をはじめ、この10年間で本市のイメージアップに貢献いただいた方に対する表彰や、本市出身の映画監督や俳優の方々による「夢」をテーマとしたトークセッション、十三代目市川團十郎白猿丈による祝賀演舞などにより、来賓の方々や市民の皆様とともに節目の年をお祝いいたしました。
ほかにも、協賛事業として、市民の皆様が主催するイベントに関しましても、「成田市制施行70周年記念」の冠を付しての実施や、チラシやポスターに70周年記念ロゴマークを使用していただくなど、市民の皆様には、この節目をともに盛り上げていただき、「成田のまち」は多くの人出で賑わいました。
成田空港におきましては、令和6年の国際線外国人旅客数が過去最高となったほか、昨年10月には航空旅客数が累計で12億人を達成するなど、航空需要の回復が顕著であります。
今後につきましても、更なる増加が見込まれますことから、将来の航空需要への対応を見据えた成田空港の更なる機能強化について、引き続き、騒音地域の皆様の生活環境の保全を図りつつ、その実現に向けて関係機関とともに取り組んでまいります。
近年、想定以上の早さで進行する少子化や、市民の環境に対する意識の向上など、行政を取り巻く環境も変化するとともに複雑化しており、市として取り組むべき課題も山積する中においては、これまで以上にスピード感をもって施策を展開することが重要であります。市民の皆様のニーズや課題を的確に捉え、子育て支援や医療、福祉、防災・減災対策の更なる充実はもとより、デジタル技術の活用やゼロカーボンシティの実現などの施策を着実に推進することにより、人々が集い、にぎわいと豊かさに満ちた持続可能なまちづくりを実現してまいります。
さて、本市の財政は、空港関連税収を背景として、全国有数の財政力を堅持し、各種財政指標の数値を見ても財政の健全性が維持されており、歳入面においては、賃金の上昇や企業の業績の回復などにより、引き続き順調な増収が見込まれるところであります。
一方、歳出面においては、高齢化の進行及び子育て施策の拡充などに伴う扶助費などの義務的経費が増加傾向にあることに加え、将来を見据えて取り組んでいる各種事業のほか、先延ばしできない公共施設の更新や長寿命化、空港の機能強化に向けた基盤整備などの投資的経費、さらには、施設の維持管理経費等の経常経費についても、賃金の上昇や光熱費等の高騰に伴う増加が続いており、より一層の効率的な財政運営が求められております。
このような中、令和7年度の予算の編成においては、市民目線から施策の全般を再検証し、優先順位付けを徹底するなど、これまで以上に、市民サービスの質・量の維持向上と、財政負担の最適化を進めることにより、一般会計では、対前年度比7.8パーセント増の704億円、特別会計及び地方公営企業会計を加えた全体予算においても、4.8パーセント増の約1,049億円で、ともに過去最大規模の予算を編成したところであります。
それでは、令和7年度の本市における主要な施策の概要について申し上げます。
まず、成田空港の更なる機能強化についてでありますが、現在、滑走路整備や将来の騒音影響を見据えた環境対策など、各種の取り組みが順調に進められております。国においては、「2030年 訪日外国人旅行者数6千万人、訪日外国人旅行消費額15兆円」の目標を掲げており、本市といたしましても、更なる機能強化は、我が国の成長戦略の一環として、また、空港周辺地域の活性化と雇用の拡大などにもつながる最大の地方創生であると捉えており、今後も着実に進める必要があるものと考えております。
また、空港会社においては、成田空港を取り巻く喫緊の課題を踏まえ、旅客施設の「ワンターミナル化」や物流機能を集約した新貨物地区の整備、道路・鉄道アクセスの改善や地域と空港との相互連携による一体的・持続的発展など、成田空港が目指すべき将来像として「新しい成田空港」構想の「とりまとめ2.0」を昨年7月に公表いたしました。
とりまとめでは、成田空港が目指すべき姿として「エアポートシティ」が掲げられ、本年1月の四者協議会において、更なる機能強化や「新しい成田空港」構想による効果を空港周辺地域にも最大限波及させるため、暮らし・産業・インフラの各分野における取り組みを強力に推進していくことを目的として、エアポートシティ実現のための推進主体を本年4月に設立することが合意されました。
本市におきましても、成田空港を核としたエアポートシティの実現により、将来を見据えた広域的なまちづくりが推進されるよう、同主体と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
次に、企業立地の推進についてでありますが、成田空港の更なる機能強化、圏央道、北千葉道路などの広域交通ネットワークの整備が進められている中、空港周辺地域への物流企業などの進出意欲の高まりに対し、企業立地のための受け皿を確保することが求められております。
そのため、地域未来投資促進法に基づく「千葉県成田市基本計画」の第2期計画を策定して地域経済牽引事業の承認要件を拡充したほか、企業進出が見込まれる高速道路インターチェンジ周辺など、市内の交通結節点を対象として、農地転用許可等の手続きに関する配慮等、同法による規制の特例措置を活用して事業を進めることのできる重点促進区域の候補地の選定と精査を行うなど、企業が進出しやすい環境づくりとして、企業立地のための受け皿確保に努めており、引き続き積極的に企業誘致を推進してまいります。
次に、都市基盤の整備についてでありますが、成田空港の更なる機能強化による空港周辺地域への波及効果を最大限に受け止め、将来に向けて、本市が持続的に発展していくためには、機能強化により期待される新たな開発需要や人口増加に対して、秩序ある快適で良好な市街地の形成が求められております。
そのような中、中心市街地に隣接した不動ケ岡地区において、新たな居住環境の整備と商業的土地利用による賑わいを図ることを目的として、不動ケ岡土地区画整理組合により事業が進められており、令和10年度中の使用収益開始を目指し、取り組んでいるところであります。
また、東和田南部地区や吉倉・久米野地区においても土地区画整理事業の事業化を目指し、関係機関との協議をはじめとした様々な検討を進めている段階でありますので、これらが実現できるよう引き続き地区の取り組みを支援し、新たな街づくりを推進してまいります。
次に、成田ニュータウンにつきましては、成田空港の更なる機能強化に伴い、増加が見込まれる空港関連企業の従業者の受け皿としての役割も大きいと考えており、老朽化した団地の再生なども含めた住環境の再整備を図るとともに、地域全体の賑わいの創出や活性化が求められております。
そのような中、成田ニュータウンの中心部に位置する赤坂センター地区におきましては、成田ニュータウンの再生を見据えた多機能な複合施設を整備するため、基本理念や施設規模、導入する機能など施設整備の考え方の骨格となる基本構想を策定することとし、複合施設の目指すべき姿でもある「成田ニュータウン再生の核となる賑わいの拠点施設」という将来ビジョンの実現に向けた取り組みを進めてまいります。
また、JR成田駅西口におきましては、官民連携により、駅前に所有する土地の有効活用と市民の利便性の向上に取り組んでおり、現在、本事業の一環として実施する駐輪場の再整備に向けた基本設計を進めているところであります。
今後も、駅前にふさわしい、にぎわいの創出と魅力ある施設を新たに整備するとともに、駅周辺のバリアフリー化を推進してまいります。
次に、多文化共生社会の実現に向けた取り組みについてでありますが、少子高齢化による深刻な労働力不足や国際化の進展などにより、建設業、航空業、IT業など多くの分野で外国人労働者が重要な役割を担っており、空港を擁する本市では、年々外国人住民の人口が増加しております。そのようなことから、市役所内に多言語対応が可能な外国人総合相談窓口の設置や市のホームページにおいて各種手続き方法などの問い合わせに多言語で24時間自動回答するAIチャットボットの導入などを実施してまいりました。
令和7年度は、今後の市の施策に生かすことを目的として、外国人住民を対象にアンケート調査を実施し、生活実態や行政サービスのニーズの把握に努めてまいります。
今後も、成田市国際交流協会などの関係機関と連携を図りながら、外国人住民と日本人住民が互いの文化や価値観を認め合い、共に学び、共に働き、共に安心して暮らせるよう、引き続き多文化共生社会の実現を目指してまいります。
次に、こども施策についてでありますが、「こども基本法」および「こども大綱」の理念等を踏まえ、「こどもまんなか社会」の実現に向けて、こども施策を総合的かつ計画的に推進するために策定した令和7年度を初年度とする「第1期成田市こども計画」に基づき、こどもの視点に立ち、こどもの最善の利益を第一に考え、すべてのこどもが健やかに成長できる環境づくりに向けた施策を積極的に推進してまいります。
新たな取り組みといたしましては、高校生や大学生等による「こども未来政策委員会」を組織し、市に事業提案を行うことを可能とする「こども・若者参画推進事業」、地域で安全・安心に過ごせる場所や機会を提供しているこども食堂や学習支援の場、プレーパークなどを実施する団体等に、新規開設、整備及び実施に要する経費の一部を助成する補助制度を新たに設け、地域におけるこどもの居場所の拡充を図るための「こどもの居場所づくり推進事業」を実施してまいります。
また、保護者の就労要件等を問わず、時間単位で保育園等を利用できる「こども誰でも通園制度」につきましては、昨年6月より実施している試行的事業の結果を踏まえて事業の拡大等に取り組むなど、子育て家庭に対する更なる支援を図ってまいります。
さらに、待機児童対策につきましては、待機児童が発生している低年齢児の受け皿を確保するため、新たに小規模保育事業所1園が本年4月に開園するとともに、いわゆる「なりた手当」を交付することなどにより、本市における保育士の確保に努め、待機児童の解消及び保育の質の向上が図られるよう継続的に進めてまいります。
次に、観光施策についてでありますが、令和7年度も、歌舞伎公演を中心とした「成田伝統芸能まつり 春の陣」や、本市の祭りをはじめ全国有数の伝統芸能を一堂に会した「成田伝統芸能まつり 秋の陣」を引き続き開催するほか、四季折々の魅力ある様々なイベントの開催に向け、関係団体と連携しながら支援を行い、「まち」のにぎわい創出を図ってまいります。
次に、スポーツの振興についてでありますが、36ホールを有する「成田エアポート東雲パークゴルフ場」が、本年4月に供用を開始することから、全国大会をはじめとした様々なパークゴルフ大会の誘致に積極的に取り組むとともに、8月の全日本女子硬式クラブ野球選手権大会や、10月の全日本選抜還暦軟式野球大会といった各種スポーツ大会の誘致など、本市の特性や地域資源を生かしたスポーツツーリズムを推進してまいります。
また、共生社会ウィークにおける各種取り組みに加え、本年5月にはアジア地区で初となる障がい者立位テニスの国際大会が開催されることから、スポーツを通じた共生社会を推進するとともに、NARITAスポーツツーリズムフェスや成田POPラン大会、成田スポーツフェスティバルなどのスポーツイベントを引き続き開催し、スポーツにふれあう機会の創出に努めてまいります。
次に、国際医療福祉大学についてでありますが、開学から10年目を迎える成田キャンパスでは、医師や看護師をはじめ、これまでに2,000名近い医療人材が輩出され、地域医療の担い手として医療の最前線で市民の皆様の健康を支えております。
昨年は、成田薬学部が開学し、医学部を備えた全国屈指の医療福祉の総合大学として、チーム医療に貢献できる医療福祉専門職の育成が一層進められているところであります。
令和8年には、大学病院に隣接して、成田薬学部の3年生以上が学ぶ畑ケ田校舎の開設が予定されていることから、学生や教職員の増加に伴う、まちの活性化、臨床に強い薬剤師の育成による地域医療体制への貢献などの公益性をふまえ、必要な支援を行ってまいります。
また、開院から間もなく5年が経過する国際医療福祉大学成田病院は、市内からの患者を中心に、1日平均1,100名を超える外来患者を受け入れているほか、年々増加を続ける市消防本部からの救急搬送件数が、令和5年度は約1,700件を数えるなど、成田赤十字病院とともに、本市の医療体制の柱となる存在となっております。
加えて、本年4月には大学病院の近隣に、特別養護老人ホームと介護老人保健施設を併設する成田老年医療福祉センターが開設されることから、病院との連携による更なる包括医療や介護の提供が図られるものと考えております。
以上、主要な施策の概要を申し上げましたが、令和7年度につきましては、総合計画「NARITAみらいプラン」の集大成となる第3期基本計画の2年目となります。これまで実施してきた事業の更なる推進に向け、同プランに掲げました6つの基本方向における様々な施策について、全力で取り組んでまいります。
続きまして、その6つの基本方向ごとに、主な基本施策の概要を申し上げます。
1つ目は、『安全・安心でうるおいのある生活環境をつくる』についてであります。
まず、防災施策についてでありますが、昨年の能登半島地震を契機に大規模かつ広範囲で災害が起こった場合に備えた備蓄が重要であることを再認識したところであり、大規模な地震等に対応できる食料や飲料水、資機材等の備蓄をさらに推進することにより、想定しうる様々な最大規模の災害にも対応できる備蓄体制を構築してまいります。
また、災害に的確に対応するための消防体制についてでありますが、市民の安全・安心を確保するためには消防本部と地域防災の要である消防団の体制強化は大変重要であることから、消防団に災害活動支援システムを新たに導入し災害時等における情報伝達能力の向上を図ってまいります。
消防救急体制につきましては、一層の充実を図るため、救急出動が増加する日中時間帯の活動を目的とした本部機動救急隊を新設し救急需要の増大に対応してまいります。
次に、空港周辺地域の振興策についてでありますが、成田空港の更なる機能強化が着実に推進されている中、今後も発展が見込まれる成田空港のプラスの効果が騒音地域にも及ぶよう、騒音地域の振興をより一層推進する必要があると考えており、地域の特性や資源を活かした振興策を検討するため、現在、環境整備調査を実施しております。
令和7年度につきましては、スポーツ施設を中心とした施設整備に係る基本計画の策定や自転車を活用した地域活性化に係る調査など、地域振興策の具現化に向けた取り組みを開始してまいります。
次に、空き家対策についてでありますが、移住・定住の促進や地域交流の場として空き家の利活用を支援するため、改修費用に対する空き家活用補助金を、また、危険とみなされた空き家や防犯上・景観上不適切な空き家の撤去を促進するため、空き家除却補助金をそれぞれ新設し、安全・安心な住環境の整備に取り組んでまいります。
次に、環境施策についてでありますが、脱炭素社会の実現に向けた取り組みといたしまして、引き続き住宅用太陽光発電システムの設置や電気自動車の購入に対する補助を実施してまいります。
また、公共施設においても太陽光発電設備の導入を推進するとともに、庁用車の更新時には原則、電気自動車等の環境に配慮した車を導入するなど、市としても率先して二酸化炭素排出量の削減に取り組んでまいります。
最新の水処理機能を有する新たな浄化センターにつきましては、本年10月の供用開始に向けて、引き続き、再整備工事を進めてまいります。
また、いずみ聖地公園につきましては、少子高齢化や核家族化の進行などにより多様化する墓地需要に対応するため、合葬式墓地の整備工事を進め、本年10月の供用開始に向けて、利用者の募集等を行ってまいります。
さらに、新清掃工場関連付帯施設の整備につきましては、アクセス道路の築造工事を進めるとともに、用地の造成工事に取り掛かるほか、本施設の設計・施工・運営を行うPFI事業者を選定するなど、事業の推進を図ってまいります。
2つ目は、『健康で笑顔あふれ、共に支え合う社会をつくる』についてであります。
まず、老朽化が進んでいる郊外の公立保育園につきましては、赤荻保育園の新園舎建設のための解体工事に着手するなど、安全・安心な保育環境の向上に資するため、再整備を進めてまいります。
児童ホームにつきましては、昨年12月に平成児童ホームの供用を開始し、本年4月には成田第三児童ホーム及び本城第三児童ホームの供用開始を予定しており、定員を拡充することにより待機児童の解消を図ってまいります。
次に、母子保健についてでありますが、妊娠から出産・子育て期にわたる切れ目のない支援を図るため、現在実施している妊婦健診等の助成に加え、新たに産後2週間及び1か月の産婦健診並びに生後1か月の乳児健診にかかる費用の助成を開始してまいります。
また、本市が実施しております赤ちゃん相談や1歳6か月及び3歳児などの乳幼児健診について、問診票のデジタル化など母子保健のDX化をすすめることにより、受診にかかる負担を軽減し、利便性の向上に加え、事務の効率化を図ってまいります。
次に、福祉施策についてでありますが、今後ますます、介護サービスの需要が高まることを見据えて、新たな特別養護老人ホームの整備など、介護サービスの充実を図るとともに、高齢者の介護を支える人材の不足が見込まれることから、引き続き介護職員の資格取得のための費用助成や、定着を支援する「介護版なりた手当」の支給などを通じて、介護人材の確保・定着を推進してまいります。
介護保険事業につきましては、介護事業所や医療機関、高齢者の通いの場などの地域資源情報を集約するWEBシステムを新たに導入することで、高齢者やその家族等へ適切に情報を発信するとともに、ケアマネジャー等関係者間の円滑な情報共有や連携強化につなげるなど、地域支援事業の取り組みをさらに発展させてまいります。
また、障がい福祉施策については、本年11月に、耳がきこえない、きこえにくい人のためのオリンピックである東京二〇二五デフリンピックが開催されることから、こうした契機をとらえ、障がいへの理解を深め、障がいのある方が、地域で安心して、自分らしく暮らすことができるよう取り組んでまいります。
次に、保健衛生についてでありますが、人口減少や高齢化に伴う医療ニーズの質・量の変化に対応するため、医師会や医療機関をはじめ、関係機関との連携により地域医療の充実を図るとともに、帯状疱疹ワクチンにつきましては、本年4月から、65歳以上の5歳間隔の方と、免疫機能に障がいのある60歳から64歳の方を対象に定期接種を開始し、市民の健康の保持増進と経済的負担の軽減を図ってまいります。
3つ目は、『地域文化を生かし、未来を担う心豊かな人材を育む』についてであります。
まず、本市の教育分野に関する施策を総合的かつ体系的に進めていくことを目的とした「成田市教育振興基本計画」につきましては、昨年実施したアンケート調査結果を踏まえ、有識者や学校関係者などからなる策定委員会やパブリックコメントなどを通じて、市民の皆様の声を反映しながら、策定してまいります。
次に、学校施設の整備につきましては、施設の老朽化が進む成田小学校の改築工事及び成田中学校の長寿命化改修工事に向け、引き続き実施設計を進めてまいります。
また、近年の猛暑による児童生徒の熱中症対策として、小中義務教育学校の体育館に、空調設備を引き続き整備してまいります。
さらに、老朽化した学校給食センター本所の愛光園跡地への移転再整備については、令和8年度の供用開始を目指し進めてまいります。
次に、よりよい学校教育環境づくりの推進につきましては、すべての子どもが安心して教育を受けられるよう、経済的な理由で就学が困難な児童生徒を持つ家庭に対して、学校生活に必要な物品や給食費等を支給する就学援助制度の所得要件を、生活保護基準の
1.3倍から、1.5倍に引き上げ、保護者の経済的負担を軽減し、義務教育の円滑な実施に努めてまいります。
また、学校給食につきましては、市立の小中学校等における第3子以降の給食費無料化や市立の中学校3年生及び義務教育学校の9年生、並びにひとり親家庭の児童生徒に係る給食費の無料化のほか、食物アレルギー等を有する児童生徒に係る学校給食費相当額の助成や食材価格の高騰による給食費増額分を公費負担するなど、引き続き保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、現在、国において給食費の無料化について検討されていることから、今後、これらの動向を踏まえ、完全無料化について検討してまいります。
次に、中学校の部活動については、本年9月から市内をエリア分けした中で複数の地域クラブを運営し、適正なクラブ数、指導者数、活動場所の確保等について検証を進め、休日の部活動の地域展開の拡大を図ってまいります。
また、開館から50年を迎え老朽化が著しい国際文化会館については、安全・安心に利用できるよう施設の管理・運営に努めるとともに、施設機能の充実やバリアフリー化など市民ニーズに対応した施設の再整備に向け、新たな施設の目指すべき姿、担うべき役割や機能などを整理する基本構想を策定してまいります。
4つ目は、『空港の機能を最大限に生かし、魅力的な活気あふれる都市をつくる』についてであります。
現在、成田空港を核とするエアポートシティの実現に向けた協議が進められており、本市のまちづくりの取り組みや考えがしっかりと反映されるよう、関係機関と連携してまいります。
一方、更なる機能強化に伴う航空機の発着回数の増加などにより、騒音地域の生活環境にも大きな影響が生じることが見込まれることから、引き続き関係機関と協力しながら防音工事の推進に取り組むとともに、生活環境の保全に向けた騒音対策のより一層の充実に努めてまいります。
次に、道路整備についてでありますが、成田空港の更なる機能強化を見据え、将来の交通需要の増加を適切に受け止め、空港周辺地域の発展と利便性の向上を図るため、骨格となる幹線道路の整備を進めるとともに、広域道路ネットワークとの連携を強化する高速道路へのインターチェンジの設置に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。あわせて、地域の生活に密着した生活道路につきましても、通学路の安全性向上など、地域の課題に応じた必要な改善に努めてまいります。
次に、公共交通につきましては、現在、鉄道、民間路線バス、タクシーなどの交通サービスが展開されているところでありますが、公共交通を取り巻く環境が厳しさを増す中、本市が運行しているコミュニティバスやオンデマンド交通について、市民の生活交通手段を確保するため、地域の特性やニーズに対応した地域公共交通を構築していく必要があります。
そのため、昨年から実施しているデータ分析や地域公共交通に係るワークショップなどの結果を踏まえ、持続可能な運行形態の検証を行い、本市として望ましい公共交通の構築に向け、交通事業者などの関係者と連携して取り組んでまいります。
5つ目は、『活力ある産業を育て、にぎわいや活気を生み出すまちをつくる』についてであります。
令和7年度も、成田市御案内人 十三代目市川團十郎白猿丈の発信力を活用し、引き続き「歌舞伎のまち成田」の魅力を発信するほか、成田市観光キャラクター「うなりくん」の高い知名度を活用し、本市の魅力やイベント情報を積極的に発信してまいります。
また、成田山表参道周辺の通信環境の充実を図るため、屋外型の公衆無線LAN環境を整備し、観光地としての魅力の向上を図ってまいります。
次に、農業施策についてでありますが、米の需給と価格の安定を図るため、需要に応じた主食用米の生産を推進するとともに、本市の特産品である米やさつまいもなどの産地振興を図るため、認定農業者及び営農集団に対し、高性能な農業機械・施設の導入に加え、スマート農業機械の導入を支援することにより、高単価での販売及び生産コストの低減などによる農業者の所得の向上に努めてまいります。
さらに、農業従事者の高齢化や担い手不足などが深刻となっている現状を踏まえ、地域の中核となり、地域農業の担い手となる農業従事者の育成を図るとともに、農業への新規参入を促進するため、本市で新たに就農する方に対し、就農直後の経営が不安定な時期に農業経営を支援することで、本市における新規就農者の定着を図ってまいります。
また、有機農業などの持続可能な環境にやさしい農業につきましては、本年3月に「有機農業実施計画」を策定し、同計画に基づき、生産面積の拡大に向けた栽培技術研修会の実施に加え、有機農業などに必要な機械の導入に対する支援を行うなど推進を図ってまいります。
次に、成田市場についてでありますが、日本初のワンストップ輸出拠点機能を備えた成田市場が開場してから3年が経過し、取扱高が増加傾向にあるとともに、成田楽市や産業まつりの開催などにより、市民の皆様の認知度も徐々に高まっているものと感じております。
こうした中、新たに整備する集客施設棟については、整備及び運営を行う優先交渉権者による整備に向けた準備が進んでおり、令和8年10月の第1期開場に向け、事業は着実に進展しております。海外からも高い評価を受けている日本の食文化を、市民の皆様や、本市を訪れる国内外の観光客などが気軽に楽しめる集客施設棟の整備を推進することで、食によるにぎわいの創出を図ってまいります。
また、国家戦略特区制度による規制緩和の提案をきっかけに、EU向け衛生証明書が成田空港にて取得できるようになるなど、輸出手続きの更なる迅速化を図ったほか、本年1月からは、千葉県農林水産部販売輸出戦略課の職員が成田市場に常駐することとなり、千葉県産農林水産物の輸出拡大に向け、連携・協力を図っているところであります。
今後は、市場内で発行する輸出証明書等の拡充に取り組むとともに、農林水産物の輸出バイヤーを成田市場や市内生産現場などに招へいし、場内事業者や生産者などとの商談会を開催するほか、成田空港などと連携し、空港を利用する国内外のお客様に地域の農林水産物の美味しさに関する情報の発信を積極的に行うことで、更なる輸出拡大を図ってまいります。
6つ目は、『市民サービスを充実させ、持続可能な自治体運営を行う』についてであります。
まず、平和への取り組みについてでありますが、本年は終戦から80年という節目の年を迎えます。戦争を体験された方々が高齢となり、当時のことを語り継ぐことが難しくなっている中、市民の皆様から寄せられた戦争体験記を広報なりたで連載するとともに、戦時中の本市の様子などについて紹介するギャラリー展や、より多くの市民の皆様に参加していただける中学生折り鶴平和使節団報告会を開催することで、戦争の悲惨さ、平和の尊さを次世代に伝え、引き継いでまいります。
次に、デジタルトランスフォーメーションの推進についてでありますが、昨年は、市の公式LINEに市政情報や各種手続きに関するメニュー表示を追加し、トーク形式で必要な情報に簡単にアクセスできるようにいたしました。
今後も引き続き、各種行政手続における電子申請の拡大や業務システムなどの活用により、更なる市民の利便性の向上、行政の効率化を目指してまいります。
さらに、デジタル活用に不安を抱える高齢者等に対しましては、スマートフォンの活用講座などを実施し、誰もがデジタル化の恩恵を享受できるよう対応してまいります。
また、昨年12月から健康保険証が新たに発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行いたしました。今後、マイナンバーカードの交付業務の増加やカード保有者の増加に伴う電子証明書の関係業務の増加が見込まれることから、窓口の混雑緩和や市民の利便性の向上を図るため、令和7年度より、市内の一部の郵便局で、マイナンバーカードの申請サポート・電子証明書の発行・更新等の手続きを実施してまいります。
次に、持続可能な自治体運営についてでありますが、受益者負担の適正化と公平性の確保を図る観点から、公共施設の使用料や、各種行政サービスにかかる手数料の一体的な見直しを図ってまいります。
また、更なる観光振興策への取り組みや環境整備等への活用を図るための、新たな財源の確保策として、昨年から、宿泊税導入の必要性や観光施策等の財源のあり方などについて、有識者懇談会を設置し、検討を進めているところであり、今後は、市としての方針を早期に定めるなど、宿泊税の導入に向けて積極的に取り組んでまいります。
以上、市政に臨む私の所信の一端と、令和7年度の主要施策の概要を申し上げました。
本市は、昨年70周年というひとつの節目を迎えました。私といたしましても、市制70周年を契機に、本市の豊かな自然、伝統や文化、産業を守り育てた先人への感謝を忘れずに、今後も、市民一人ひとりが夢と希望を持って暮らしていくことができるよう、輝かしく発展し続ける成田を目指し、「住んでよし、働いてよし、訪れてよし」の次世代に誇れる空の港まち、生涯を完結できるまちづくりという、本市の未来を見据えた大きな目標に向かい全身全霊をかけて尽くしてまいります。
結びに、議員各位並びに市民の皆さまのご支援とご協力を重ねてお願い申し上げまして、令和7年度の施政方針といたします。
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