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更新日:2024年2月22日

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令和6年度施政方針(令和6年3月定例会)

 令和6年3月成田市議会定例会の開会に当たり、令和6年度の施政方針と所信の一端を申し上げ、議員各位、並びに市民の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げる次第であります。

 はじめに、1月1日に最大震度7の令和6年能登半島地震が発生しました。お亡くなりになられた方々のご冥福と被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、本市といたしましては、職員を派遣するなどしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
 さて、私は平成19年1月の市長就任以来、「住んでよし 働いてよし 訪れてよし」の次世代に誇れる空の港まち、生涯を完結できるまちづくりに向けて、全力投球で市政運営に取り組んでまいりました。
 昨年は、5期目のスタートに当たり、「つなぐ未来へ 進化するまちづくり」をスローガンとし、本市の更なる発展に向けて、成田空港の更なる機能強化に対応したまちづくり、国家戦略特区制度の活用、騒音地域の振興、少子高齢化対策、教育環境の充実、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ経済の活性化などの課題へ果敢に挑んできたところであります。
 そのような中、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に変更となり、市内各地区でお祭りやイベントが開催されると同時に、多くの観光客が訪れるなど、まちに以前のにぎわいが戻り、正月の成田山新勝寺もコロナ禍前に引けを取らない数の初詣客が参拝に訪れるなど、大いににぎわったところであります。
 また、成田空港におきましても、昨年12月の国際線の航空旅客数が、コロナ禍前の令和元年同月比で約79パーセント、国内線は約104パーセントとなるなど、以前のように多くのお客様で活気づいた空港の姿を取り戻しつつあります。
 こうした中、今後の航空需要の増加を見据え、成田空港の機能強化が着々と進められております。
 私は、この成田空港の更なる機能強化が、地域経済の発展に向けた大きな効果と雇用の拡大をもたらす最大の地方創生と捉えており、新たな開発需要や人口増加に適切に対応していくため、都市機能や住環境整備を迅速かつ適切に進めてまいります。
 また、安心して子どもを産み、子育て・教育ができる環境づくりや医療・介護など超高齢社会の課題についても積極的に向き合い、本市が将来にわたって持続的に発展できるよう、様々な施策を実施してまいります。
 このような様々な施策の実現のために、本市の行政組織を見直し、本年4月からは、こども未来部及び健康推進部の新設により、妊娠・出産・子育ての各ライフステージに応じたきめ細かで切れ目のない支援体制をより一層推進してまいります。
 さらには、空港周辺地域が持つポテンシャルを最大限活用するため、商工課を商工振興企業立地課に改め、企業立地を積極的に推進するとともに、新たに国土交通省から都市基盤整備事業に精通した副市長を迎え、成田空港の機能強化に対応した新たなまちづくりの一層の促進を図ってまいります。また、都市計画課内に交通政策室を新設し、本市の喫緊の課題である持続可能な公共交通の構築に向けた取り組みを進めてまいります。
 さて、本年3月31日には、昭和29年に本市が誕生してから70周年の節目を迎えます。「人を繋ぐ 歴史を繋ぐ 未来へ繋ぐ みんなの成田」を基本テーマとし、これまでの本市の歩みを振り返り、改めて郷土に対する愛着や誇りを育む機会とするため、さまざまな記念事業を実施いたします。主な記念事業といたしましては、史上初となる将棋の8大タイトル全冠制覇を成し遂げた藤井聡太名人の初防衛戦となる「第82期将棋名人戦」の開催をはじめ、日本を代表する交響楽団であるNHK交響楽団によるコンサート、市内の山車や屋台が一堂に会して総踊りや曳き回しを行う「成田 山車まつり」、市内在住の高校生を対象としたボーイング社の工場視察ツアーや小学校高学年の児童を対象とした奄美大島の大自然等を体験するツアー、さらには「うなりくん」をメインモチーフとした市制施行70周年の記念ロゴマークを施した航空機の就航により、広く本市をPRすることとし、明日23日には、初フライトとして成田から大連へ向けて出発いたします。また、JR成田駅でのイルミネーション点灯などを予定しており、そのほかにも、全ての人々が生き生きとした人生を送ることができ、次代を担う子どもたちが、夢や希望を持って未来へと羽ばたくための契機となるよう、市民と一体となってさまざまな記念事業を実施してまいります。

 さて、本市の財政は、空港関連税収をはじめとして、景気に左右されにくい固定資産税を基調に全国有数の財政力を堅持し、各種財政指標の数値を見ても財政の健全性が維持されており、歳入面においては、個人市民税及び法人市民税が順調に回復するなど、長期化していたコロナ禍の影響を払拭するに至っております。
 一方、歳出面においては、高齢化の進行及び子育て施策の拡充などに伴う扶助費などの義務的経費が増加傾向にあることに加え、将来を見据えて取り組んでいる各種事業のほか、公共施設の長寿命化や更新など、より一層の効率的な財政運営が求められております。
 このような中、令和6年度の予算の編成においては、総合計画「NARITAみらいプラン」に掲げた「住んでよし 働いてよし 訪れてよしの生涯を完結できる空の港まち なりた」の実現に向け、各種施策に積極的に取り組むことにより、一般会計では対前年度比0.9パーセント増の653億円、特別会計及び地方公営企業会計を加えた全体予算においても2.5パーセント増の約1,001億円で、ともに過去最大規模の予算を編成したところであります。
  • 市長施政方針演説

主要な施策の概要

 それでは、令和6年度の本市における主要な施策の概要について申し上げます。
 まず、成田空港の更なる機能強化についてでありますが、今回の羽田空港での衝突事故により、首都圏の航空需要の受け皿としての一翼を担う成田空港の重要性や必要性が再認識されたものと考えております。そのような中、現在、滑走路整備や将来の騒音影響を見据えた環境対策など、各種の取組が順調に進められており、国においては、「2030年 訪日外国人旅行者数6千万人、訪日外国人旅行消費額15兆円」の目標を掲げております。本市といたしましても、更なる機能強化は、我が国の成長戦略の一環として、また、空港周辺地域の活性化と雇用の拡大などにもつながる最大の地方創生であり、今後も着実に進める必要があります。
 また、空港会社においては、成田空港を取り巻く喫緊の課題を踏まえ、旅客施設の「ワンターミナル化」や物流機能を集約した新貨物地区の整備、道路や鉄道アクセスの改善等について、中長期的な課題や環境変化に対応可能な「新しい成田空港」構想の中間とりまとめを公表し、併せて新旅客ターミナルと新貨物地区の建設候補地も示されました。
 現在、空港会社では関係者と調整を進めながら、中間とりまとめにおける方向性の具現化に向けて取り組んでいるとのことでありますが、同構想は、本市における将来のまちづくりに大きな影響を与えるものであることから、今後、構想がさらに具体化される中においては、本市の持続的発展に向けた考えを積極的に発言し、地域と空港の共生・共栄につながる構想となるよう求めてまいります。
 次に、企業立地の推進についてでありますが、成田空港の更なる機能強化の順調な進展とともに、圏央道や北千葉道路などの広域交通ネットワークの整備が進められている中、空港周辺地域が持つポテンシャルを最大限活用した物流関連施設や医療関連産業をはじめとする企業などの立地により、本市の地域経済の更なる発展が期待されているところであります。
 そのため、本市といたしましては、空港に直結する国道295号沿道において物流関連施設等の立地を可能とする新たな開発許可基準の追加や、下総インターチェンジ及び(仮称)成田小見川鹿島港線インターチェンジ周辺をはじめとした、空港周辺地域における土地利用規制の緩和等による物流機能などの受け皿確保に向けて積極的に取り組むとともに、企業が進出しやすい環境づくりについての調査・研究を行い、企業立地を推進してまいります。
 次に、都市基盤の整備についてでありますが、成田空港の更なる機能強化による空港周辺地域への波及効果を最大限に受け止め、将来に向けて、本市が持続的に発展していくためには、機能強化により期待される新たな開発需要や人口増加に対して、秩序ある快適で良好な市街地の形成が求められております。
 そのような中、昨年12月には、中心市街地に隣接した不動ケ岡地区において、新たな居住環境の整備と商業的土地利用によるにぎわいを図ることを目的として、不動ケ岡土地区画整理組合の設立が認可され、このほか、東和田南部地区や吉倉・久米野地区においても、事業化を目指して取り組んでおります。
 本年4月からは、新たに国土交通省から区画整理事業にも精通した副市長を迎え、新たなまちづくりの実現に向けて、これらの取組を引き続き積極的に支援してまいります。
 さらに、これらのまちづくりを支え、空港周辺地域の発展と利便性の向上を図るため、骨格となる幹線道路の整備を進めるとともに、広域道路ネットワークとの連携を強化するインターチェンジの設置の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、成田ニュータウンにつきましては、今後、着実に進展していく成田空港の更なる機能強化に伴い、空港関連企業の雇用増加の受け皿としての役割も大きいものと考えております。
 このようなことから、UR都市機構や千葉県などとも連携しながら老朽化した団地の再生なども含め、ニュータウン地区の居住環境の再整備を図ってまいります。
 また、成田ニュータウンの中心部に位置する赤坂センター地区においては、この夏にボンベルタ成田が大規模リニューアルし、地域のにぎわいの創出が期待されており、本市といたしましても、老朽化した中央公民館への対応や、時代に合った図書館のあり方などを考慮しながら、多機能な複合施設を整備することで、ニュータウン地区の活性化を図ってまいります。
 現在、複合施設の整備に向けた基本調査を実施し、市民アンケートやワークショップなどを通じて、市民ニーズの把握を行っており、引き続き、成田ニュータウン地区の活性化とにぎわいの創出に向け、複合施設の整備等に取り組んでまいります。
 また、JR成田駅西口駅前の市有地の活用につきましても、駅前にふさわしい魅力ある施設として整備するとともに、駅周辺のバリアフリー化を図るなど、市民の皆様の利便性の向上に向けた取組を進めてまいります。
 次に、子どもや子育て世代への支援についてでありますが、安心して子どもを産み育てられる環境整備を推進することは、本市における最重要課題の一つであります。
 具体的には、再整備を進めております松崎保育園において、ゼロ歳児の定員を新たに設けるなど、待機児童が発生している低年齢児の保育の受け皿の拡大を図るとともに、保育士確保のため、私立保育園などに勤務する保育士の月額給与の上乗せ補助や、勤務年数に応じて一時金を交付する、いわゆる「なりた手当」を令和6年度から増額し、保育士のさらなる処遇改善を図ってまいります。
 今後とも、保育需要や人口動向などを的確に捉えるとともに、早期に待機児童数がゼロになるよう、待機児童対策を積極的に展開するなど鋭意取り組んでまいります。
 また、未就学児とその保護者や小学生から高校生までの居場所となっている「子ども館」につきましては、開所日を増やし、子どもの交流の場や子育て世代が育児などの相談ができる場として、施設利用の機会を拡充してまいります。
 次に、学校給食につきましては、市立の小中学校等における第3子以降の給食費無料化や本市独自の取り組みとして、市立の中学校3年生及び義務教育学校の9年生、並びにひとり親家庭の児童生徒に係る給食費の無料化のほか、食物アレルギー等を有する児童生徒に係る学校給食費相当額の助成を引き続き行ってまいります。
 このほか、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを推進するため、結婚や妊娠・出産に係る経済的な支援等を引き続き行うとともに、新たに、不妊治療における先進医療に対しても助成を行ってまいります。
 加えて、全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てを行えるよう妊娠期から出産・子育て期にわたり、切れ目のない支援を行う「子育て世代包括支援センター」と、虐待や養育支援などの問題を抱えた家庭に対応する「子ども家庭総合支援拠点」の機能を統合した「こども家庭センター」を設置し、子どもや子育て世帯、妊産婦等に対する母子保健分野と児童福祉分野の両面からの一体的な支援を実施し、子育て支援の充実を図ってまいります。
 また、子どもや子育て世代の視点に立った政策を実施していくため、子ども・子育て支援事業の提供体制などを定めた「子ども・子育て支援事業計画」と併せて、子どもの貧困対策など、子どもに関する様々な施策を含めた令和7年度を初年度とする「こども計画」を策定いたします。
 次に、観光施策についてでありますが、昨年は、本市の主要観光行事である、成田祇園祭、成田太鼓祭、成田伝統芸能まつり、及び成田弦まつりなどの各種イベントが、コロナ禍前の規模で開催され、多くの観光客が訪れるとともに、市内ににぎわいが回復してまいりました。
 本年も、市が主催するイベントとして、歌舞伎公演を中心とした成田伝統芸能まつり春の陣や、本市をはじめ、全国有数の伝統芸能を一堂に会した、成田伝統芸能まつり秋の陣を引き続き開催するほか、四季折々の魅力ある様々なイベントの開催に向け、関係団体と連携しながら支援を行い、「まち」のにぎわい創出を図ってまいります。
 さらに、市制施行70周年を記念し、4月28日には、市制施行60周年での開催以来10年ぶりとなる「成田 山車まつり」を開催いたします。
 次に、スポーツ振興についてでありますが、アメリカやアイルランドとのホストタウン交流を継続するとともに、NARITAスポーツツーリズムフェスや成田POPラン大会などを引き続き開催し、スポーツツーリズムの推進に積極的に取り組んでまいります。
 また、共生社会ウィークにおけるパラスポーツイベントや、5月に開催される全日本障がい者立位テニス選手権大会など、スポーツを通じた共生社会を推進するとともに、6月のインターミディエット アジア太平洋中東リトルリーグ選手権や、関東高等学校ハンドボール大会、8月の全日本女子硬式クラブ野球選手権大会など、各種スポーツ大会の誘致や成田スポーツフェスティバルの開催など、スポーツにふれあう機会の創出に努めてまいります。
 さらに、市制施行70周年記念事業として開催する、本市と台湾 桃園市との中学生による野球交流試合や、大学ラグビー交流戦の開催など、スポーツを通じた国際交流や地域活性化の取り組みを進め、節目の年をスポーツでも盛り上げてまいります。
 次に、スポーツ施設の充実についてでありますが、現在、整備を進めているパークゴルフ場に併設した東小学校跡地複合施設については、パークゴルフ場に先行して本年4月1日から供用を開始し、市民が利用しやすいスポーツ環境の充実に努めてまいります。
 次に、国際医療福祉大学についてでありますが、昨年の医師国家試験で全国トップクラスの成績を上げた医学部第1期生に引き続き、来月には、県内唯一の診療放射線技師の養成校として開設された放射線・情報科学科からも初の卒業生が輩出されます。
 さらに4月には、臨床に強い薬剤師の育成を目指して、成田薬学部が新設されることから、全国屈指の医療福祉の総合大学として、地域医療の担い手となる医療福祉専門職の育成が、成田キャンパスにおいて一層進められるものと大いに期待しております。
 成田薬学部の新設にあたりましては、3年生から6年生までが学ぶ畑ケ田校舎の建築が令和6年度から予定されているため、本市が大学を誘致したという経緯や、更なる学生の増加に伴う経済効果、臨床薬剤師の育成による地域医療への貢献などの公益性を踏まえて、必要とされる適切な支援を検討してまいります。
 また、開院から間もなく4年を迎える国際医療福祉大学成田病院は、1日当たりの外来患者数が1千名を超えるなど、成田赤十字病院とともに、地域医療の中心的な役割を果たしております。
 大学病院の近隣には、特別養護老人ホームと介護老人保健施設を併設する成田老年医療福祉センターの整備が進められており、病院との連携による地域への更なる包括医療や介護の提供が図られるものと考えております。
 以上、主要な施策の概要を申し上げましたが、令和6年度につきましては、総合計画「NARITAみらいプラン」の集大成となる第3期基本計画の初年度となります。これまで実施してきた事業の総仕上げとなることから、基本構想で掲げた将来都市像である「住んでよし 働いてよし 訪れてよしの生涯を完結できる空の港まち なりた」の実現に向けて、総合計画「NARITAみらいプラン」に掲げました6つの基本方向における様々な施策について、全力で取り組んでまいります。
  • 国際医療福祉大学

基本方向に沿った主な基本施策の概要

 続きまして、その6つの基本方向ごとに、主な基本施策の概要を申し上げます。

安全・安心でうるおいのある生活環境をつくる

 1つ目は、『安全・安心でうるおいのある生活環境をつくる』についてであります。
 まず、防災施策についてでありますが、今回の能登半島地震においては甚大な被害が明らかになっており、本市にとっても、災害に強いまちづくりは重要な課題であります。そのため、自然災害からの被害を最小限にとどめるよう、「地域防災計画」や「国土強靱化地域計画」に基づき、ハード・ソフトの両面から、災害に強いまちづくりを進めてまいります。
 また、災害から一人でも多くの命を守るためには、「公助」の推進はもとより、「自助」や「共助」の取り組みが重要となりますことから、自主防災組織の結成や、避難所運営委員会の設立を促進するなど、地域防災力向上にも取り組んでまいります。
 次に、空港周辺地域の振興策についてでありますが、成田空港の更なる機能強化が着実に推進されている中、今後も発展が見込まれる成田空港のプラスの効果を、騒音地域にも波及させるためには、騒音地域の振興をより一層推進する必要があることから、地域の特性や資源を活かした振興策を検討するため、令和5年度から環境整備調査を実施し、アンケート調査等を通じた幅広いニーズの把握や関連計画・地域資源等を整理した内容の分析、地域の振興に資する具体的な振興策の検討に向けた基本方針の策定を進めております。
 令和6年度につきましては、基本方針に基づき、地域振興策の案ごとに、施策概要や施設整備を伴う事業候補地選定の結果等をとりまとめた「地域振興メニュー」を策定してまいります。
 次に、住宅施策についてでありますが、市内マンションにおける周辺への危害などを防止するための老朽化対策として、マンション管理組合の実態を含めた現状把握に努め、マンション管理の適正化を推進してまいります。
 また、市民の生活環境の保全を図るため、「第2次成田市空家等対策計画」に基づき、空き家バンクを有効に活用するなど、空き家の適正管理を促進するとともに、住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で市営住宅を賃貸し、住生活の安定に努めてまいります。
 次に、消防体制についてでありますが、いつ発生するかわからない災害に迅速かつ的確に対応するため、千葉県北東部・南部の消防本部で共同運用している高機能消防指令センター設備の更新整備を進めるとともに、消防車両の更新整備や、消防団の充実強化に取り組んでまいります。
 次に、環境施策についてでありますが、脱炭素社会の実現に向けた取組といたしまして、住宅用太陽光発電システムの設置や電気自動車の購入に対する補助について補助対象を拡大し、新たに集合住宅用の電気自動車充電設備の設置を加え、引き続き実施してまいります。公共施設においても太陽光発電設備の導入を推進するとともに、庁用車の更新時には原則、電気自動車等の環境に配慮した車を導入するなど、市が率先して二酸化炭素排出量の削減に取り組んでまいります。
 また、生物多様性確保の観点から、本市の自然環境の現状や動植物の生息状況の移り変わりを把握するため、動植物生息調査を実施してまいります。
 次に、環境衛生施設についてでありますが、老朽化が進むリサイクルプラザにつきましては、機能回復及び長寿命化に加え、より効率的な処理を行うことができるよう、設備更新等の施設整備を行うとともに、浄化センターにつきましては、し尿及び浄化槽汚泥の処理体制を安定的に確保していくため、老朽化した現施設の再整備工事を進めてまいります。
 また、いずみ聖地公園につきましては、少子高齢化や核家族化の進行などにより多様化する墓地需要に対応するため、合葬式墓地の整備工事を進めるとともに、新清掃工場関連付帯施設の整備につきましては、アクセス道路の築造工事及び用地の造成工事に取り掛かるなど、事業の推進を図ってまいります。
  • 水防訓練

健康で笑顔あふれ、共に支え合う社会をつくる

 2つ目は、『健康で笑顔あふれ、共に支え合う社会をつくる』についてであります。
 まず、老朽化が進んでいる郊外の公立保育園につきましては、赤荻保育園の整備に取り組むなど、安心・安全な保育環境の向上に資するため、順次、再整備を進めてまいります。
 また、児童ホームにつきましては、待機児童が発生している平成児童ホーム及び本城児童ホームにおいて、定員の拡大を図るため増築を進めるなど、待機児童の解消に向けて取り組んでまいります。
 さらに、国では、就労要件を問わず時間単位の保育所利用を可能とする「(仮称)こども誰でも通園制度」を創設することとしていることから、本市におきましても、実施に向けた体制の整備に取り組み、子育て家庭に対するさらなる支援を図ってまいります。
 次に、保健衛生についてでありますが、人口減少や高齢化に伴う医療ニーズの質・量の変化に対応するため、医師会や病院をはじめ、他の行政機関との連携により、地域医療の充実を図るとともに、新型コロナウイルス感染症などの新たな感染症への体制を強化し、市民の健康増進に取り組んでまいります。
 次に、福祉施策についてでありますが、物価高により厳しい状況にある生活困窮者に寄り添った支援を行うとともに、生活保護を必要とする方々に対して、自立した生活を営めるよう取り組んでまいります。
 また、今後ますます介護サービスの需要が高まることを見据えて、新たな特別養護老人ホームの整備など、介護サービスの基盤強化を着実に進めるとともに、高齢者等の介護を支える人材の不足が見込まれることから、引き続き介護職員の資格取得のための費用助成や、定着を支援する「介護版なりた手当」の支給などを通じて、介護人材の確保・定着を図ってまいります。
 次に、障がい福祉施策につきましては、住み慣れた地域での生活を支援する体制の充実が求められていることから、障がいのある方やそのご家族の緊急時であっても、安心して必要な時に必要なサービスが受けられるよう、地域生活支援拠点の機能強化を図ってまいります。
 このほか、介護保険事業につきましては、地域包括ケアシステムの中核的役割を担う地域包括支援センターについて、担当する地区が分かりやすいよう地区名を冠した名称への変更やニュータウン地区へ職員を増員するなど、相談・支援体制を強化するとともに、国際医療福祉大学との連携により、介護予防・生活支援サービス事業の新たなサービスとして、短期集中予防サービスの提供を開始するなど、高齢者等が住み慣れた地域で元気に安心して暮らし続けられるよう、地域支援事業の取り組みをさらに発展させて展開してまいります。
  • 保育園運動会

地域文化を生かし、未来を担う心豊かな人材を育む

 3つ目は、『地域文化を生かし、未来を担う心豊かな人材を育む』についてであります。
 まず、本市の教育に関する施策を総合的に推進する「成田市学校教育振興基本計画」につきましては、令和7年度をもって計画期間が終了となることから、新たに「成田市生涯学習推進計画」と統合した「成田市教育振興基本計画」の策定に着手いたします。
 次に、学校施設の整備につきましては、施設の老朽化が進む成田小学校の改築工事及び成田中学校の長寿命化改修工事に向けた実施設計を進めてまいります。
 また、近年の猛暑による熱中症対策として、小中義務教育学校の体育館に、スポット型空調設備を引き続き整備してまいります。
 さらに、学校給食センターにつきましては、老朽化した学校給食センター本所の愛光園跡地への移転再整備に着手してまいります。
 次に、よりよい学校教育環境づくりの推進につきましては、すべての子どもが安心して教育を受けられるよう、就学が困難な児童生徒を持つ家庭に対して、学用品費や給食費等の費用の一部を支給することで、保護者の経済的負担を軽減し、義務教育の円滑な実施に努めてまいります。
 また、中学校の部活動につきましては、令和5年9月より開始した部活動地域移行モデル事業の課題を検証しながら、生徒が将来にわたりスポーツ、文化・芸術に親しむ機会を確保できるよう、休日の部活動を段階的に地域移行していくための体制づくりに引き続き取り組んでまいります。
 次に、地域ぐるみで子どもを育む体制づくりにつきましては、令和5年度よりスタートした「学校運営協議会」を推進し、学校・家庭・地域が一体となって、地域とともに子どもを育てる環境を整えてまいります。
 また、図書館につきましては、開館40周年を迎えることから、記念事業として、文学講座及び成田の歴史を多くの市民が学ぶ契機となる市史講座を開催いたします。このほか、青少年向けの資料を提供するコーナーを設置し、青少年の居場所の確保及び本と親しむ機会の創出に取り組むとともに、新たに本館に自動返却仕分け機を導入するほか、インターネット端末やデータベース端末などの利用予約をインターネットから可能とするなど、利用者の利便性の向上を図ってまいります。
 次に、文化芸術の振興についてでありますが、文化芸術は、市民がゆとりと潤いを実感できる心豊かな生活を実現していく上で欠かせないものであることから、引き続き本市にゆかりのあるアーティストに焦点を当てた企画展やコンサートなどを開催し、優れた芸術に親しむ機会の充実を図るとともに、市民文化祭の開催など文化芸術活動の機会の提供に努めてまいります。
 次に、国際交流の推進についてですが、おかげさまをもちまして、本市の姉妹都市であるサンブルーノ市のご理解により、本年3月から、5年ぶりに中学生の派遣を再開することができました。今回の派遣では、定員10人のところに37人もの応募があり、大変うれしく思っております。これら友好・姉妹都市とのホームステイ交流やスポーツ・文化交流等を通して、次世代を担う子どもたちが海外を身近に感じることができるよう、積極的に海外交流を進めてまいります。
 また、成田市多文化交流フェスティバルなど、より多くの外国人住民と日本人住民が交流し、互いの文化を理解するとともに、今後も増加することが見込まれる外国人住民が地域社会に参画する場の提供を図ってまいります。
  • 子育て にこにこ親子広場

空港の機能を最大限に生かし、魅力的な活気あふれる都市をつくる

 4つ目は、『空港の機能を最大限に生かし、魅力的な活気あふれる都市をつくる』についてであります。
 成田空港につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、航空需要が大幅に減少しておりましたが、現在はコロナ禍前と同等の水準まで回復しており、今後もさらなる航空需要の増大が見込まれております。
 本市といたしましても、騒音地域と空港が、共に持続的に発展していけるよう、「地域の発展」と「空港の発展」が好循環する地域づくりに取り組んでまいります。
 また、成田空港の更なる機能強化にあたりましては、令和2年の騒防法の告示に伴い、各種防音工事助成における対象区域の拡大や制度の拡充が図られており、関係機関と協力しながら、引き続き防音工事の推進に取り組むとともに、生活環境の保全に向けた騒音対策の一層の充実に努めてまいります。
  • 成田空港

活力ある産業を育て、にぎわいや活気を生み出すまちをつくる

 5つ目は、『活力ある産業を育て、にぎわいや活気を生み出すまちをつくる』についてであります。
 コロナ禍が過ぎ、急速に回復しているインバウンド需要を取り込み、国内外からの観光客誘致に向けた戦略的かつ効果的な情報発信を推進するため、にぎわいある祭りや季節ごとの美しい自然などのライブ配信を海外に向けて発信し、インバウンドの誘致を図るとともに、引き続き「成田市御案内人 市川團十郎白猿プロジェクト」を推進し、團十郎丈の発信力を活用するほか、ターゲットを絞った動画広告やバナー広告などのWEB広告、さらには「うなりくん」の高い知名度を活用し、本市の魅力やイベント情報を効果的に発信してまいります。
 また、観光客の利用も多い東和田駐車場につきましては、利用者の利便性向上を図るため、キャッシュレス決済を導入いたします。
 ふるさと納税では、市制施行70周年記念事業の実施にあたり、市外在住の本市出身者や、本市にゆかりのある方々に「ふるさと成田」への愛着の思いを込めて寄附いただくことを期待して、70周年記念事業をともに盛り上げるための寄附金を募るほか、事業者の協力のもと70周年記念の返礼品を追加してまいります。
 加えて、ふるさと納税ポータルサイトを新たに追加するなど、寄附をしやすい環境を整え、特色ある地場産品を紹介するとともに、返礼品の充実や体験メニューの拡充を図ることで、「成田ブランド」のPR強化に努めてまいります。
 次に、商工業の振興についてでありますが、成田空港の更なる機能強化、圏央道、北千葉道路などの広域交通ネットワークの整備が進められている中、医療関連産業や物流関連施設等の企業立地が今後見込まれることから、地域未来投資促進法の積極的な活用を図るとともに、企業立地促進制度に基づき新たな企業を誘致することや、既存企業の再投資による事業拡大の支援を引き続き推進することで、本市における企業の進出・拡大を促進し、産業の競争力強化と雇用の創出を図ってまいります。
 また、市内中小企業等における若者をはじめとした人材の確保を支援することなどにより、本市の商工業のさらなる活性化と地方創生につなげてまいります。
 次に、農業施策についてでありますが、主食用米の需要減少も落ち着き米価も昨年度よりは高値となりましたが、依然として国際情勢による燃料費や肥料・資材等の価格上昇は未だに収束を見せず、さらに、昨年夏の猛暑などの自然災害が農業経営に大きな影響を及ぼしております。
 本市では、米の需給と価格の安定を図るため、大豆・麦や飼料用米への作付け転換などにより、需要に応じた主食用米の生産を推進するとともに、本市の特産品である米やさつまいもなどの産地振興を図るため、認定農業者及び営農集団に対し、機械施設の導入にかかる支援を拡充することにより、高単価での販売及び生産コストの低減などによる農業者の所得の向上に努めてまいります。
 また、農業従事者の高齢化や担い手不足などが深刻となっている現状を踏まえ、新規就農者に対する市独自の補助制度を開始するほか、地域農業における中心経営体や地域農業のあり方を明確化した地域計画の策定を積極的に推進し、地域農業の問題を集落で解決できるような組織の育成を図ってまいります。
 さらに、地域ぐるみで農地の適切な保全管理を行う共同活動や有機農業などの環境保全型農業に対する支援に加え、農道、農業用排水路の整備を推進していくことで、持続可能な力強い農業・農村づくりを支援してまいります。
 次に、新生成田市場についてでありますが、日本初のワンストップ輸出拠点機能を備えた新生成田市場が開場してから2年が経過し、成田楽市や産業まつりの開催などにより、市民の皆様の認知度も徐々に高まっていると感じております。
 こうした中、昨年11月には、インバウンド需要の獲得と消費の拡大に結びつく新たな観光拠点としての役割を担う集客施設棟の整備及び運営を行う優先交渉権者を決定したところでありますので、海外からも高い評価を受けている日本の食文化を、市民の皆様や、本市を訪れる国内外の観光客などが気軽に楽しめる集客施設棟の整備を推進することで、食によるにぎわいの創出を図ってまいります。
 そして、市場の取扱高が着実に増加している中、さらなる輸出拡大を図るため、農水産物の輸出バイヤーを新市場に招へいし、場内事業者や生産者との商談会を開催するほか、成田空港などと連携し、空港を利用する国内外のお客様に地域の農水産物の美味しさに関する情報の発信を積極的に行ってまいります。また、本年1月には、私自身も台湾へ赴き、輸出拡大を図るためのプロモーションを実施いたしましたが、今後も自ら先頭に立って積極的なPR活動を行ってまいります。
  • 新市場

市民サービスを充実させ、持続可能な自治体運営を行う

 6つ目は、『市民サービスを充実させ、持続可能な自治体運営を行う』についてであります。
 デジタルトランスフォーメーションの推進につきましては、昨年は住民票などの各種証明書交付に係る電子申請手続きの導入や、市税をはじめとした公金の口座振替について、インターネット上で登録手続を可能とするWeb口座振替受付サービスの導入などを進めてまいりましたが、今後は、DX推進に関する高い専門知識と経験を持つ外部人材をアドバイザーとして活用するほか、定型的で単純な事務作業を自動化するRPAや、市のホームページにAIチャットボットを導入するなど、さらなる市民の利便性の向上、行政の効率化を目指してまいります。
 また、引き続き、デジタル活用に不安を抱える高齢者等に対し、スマートフォンの活用講座を実施していくとともに、誰もがデジタル化の恩恵を享受できるよう、支援の拡充などを含め、対応してまいります。

結び

 以上、市政に臨む私の所信の一端と、令和6年度の主要施策の概要を申し上げました。
 先ほども申し上げたとおり、本年は成田市が昭和29年に誕生してから70周年という大きな節目を迎え、人生の古希にあたる70周年の節目を市民の皆様とお祝いできることを大変うれしく思います。
 歴史を積み重ねてきた本市の豊かな自然、伝統や文化、産業などを、独自の地域資源として活用していくことで、我がふるさと成田をこれまで以上に輝かせるとともに、「住んでよし 働いてよし 訪れてよし」の次世代に誇れる空の港まち、生涯を完結できるまちづくりの実現に向けて、全力で市政運営に挑み、本市の更なる発展につなげてまいります。
 結びに、議員各位並びに市民の皆さまのご支援とご協力を重ねてお願い申し上げまして、令和6年度の施政方針といたします。
  • 市制施行70周年記念事業
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