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更新日:2022年3月25日

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令和4年施政方針(令和4年3月定例市議会)

 令和4年3月市議会定例会の開会に当たり、令和4年度の施政方針と所信の一端を申し上げ、議員各位、並びに市民の皆さまのご支援とご協力をお願い申し上げる次第であります。

 今年は、私が平成19年1月に市長に就任してから16年目となり、4期目の総仕上げの年となります。この間、未来を見据えた、次世代に誇れるまちづくりを積極的に推進し、「住んでよし 働いてよし 訪れてよし」の生涯を完結できるまちの実現に向けて、全身全霊を捧げて市政運営に取り組んでまいりました。
 昨年は、国内において新型コロナウイルス感染症の感染者が急増し、千葉県においても長きにわたる緊急事態宣言の発令や、まん延防止等重点措置の実施など、市民の皆さまには、多くのご心配とご不便をおかけした1年でありました。改めまして市民の皆さま、事業者の皆さま、また、医療関係者の皆さまには感染拡大防止にご協力いただき深く感謝申し上げます。
 我が国においては、10月以降、新規感染者は少ない数で推移し、社会経済活動の回復に向けた取り組みも再開されるなど、希望の光が見えてきた矢先、年明けから感染力が強いとされる新たな変異株「オミクロン株」の感染が急拡大し、誰もが、いつ、どこで感染するか分からない状況となりました。1月21日からは、再び、まん延防止等重点措置の適用となりましたが、こうした状況に歯止めをかけられるかは、私たち一人ひとりの慎重な行動にかかっております。市民の皆さまにおかれましては、引き続き最大限の警戒と、感染対策の徹底をお願いするとともに、ワクチン接種へのご協力をいただき、感染拡大防止を市民一丸となって進めてまいりましょう。
 さて、昨年を振り返りますと、ワクチン接種や度重なる感染拡大への対応など、コロナ対策に追われた一年であったわけですが、そうした中でも、4月には大栄みらい学園の開校、7月には、カナダ女子サッカーチームなど東京オリンピックに出場した4か国の事前キャンプの受け入れ、8月には、アイルランドパラリンピックチームの事前キャンプの受け入れを行いました。そして、アイルランドパラリンピックチームの受け入れを契機に、2月と11月には共生社会推進イベント「PARA Beats!」を開催し、共生社会実現に向けた取り組みを推進してまいりました。
 また、東京オリンピックでは、本市出身の橋本大輝選手と並木月海選手がメダル獲得の偉業を達成し、日本中の人々に夢と希望を与えてくれました。市では両選手の活躍を称え、市民栄誉賞をお贈りしたところであります。
 このほかにも、地域応援プレミアム付き商品券や、観光客向けプレミアム付き商品券を発行し、地域経済の回復支援を行ったほか、「ご当地キャラ成田詣」のオンライン配信など、制約のある中で様々な事業を実施してまいりました。
 さらに、本市の更なる発展に向けた事業の一つであります、新生成田市場が先月20日に開場しました。新市場は、成田空港の入り口まで 約3キロメートルと近く、農水産物の加工や海外への輸出に必要な手続きを市場内で完結することができる「ワンストップ輸出拠点機能」を備えた日本初の卸売市場となっています。成田空港や東関道、圏央道などの充実した広域交通ネットワークを最大限に活用できる立地を生かし、農水産物の輸出拠点化を進めることで新たな付加価値を備え、日本の農水産物の美味しさを、成田から世界に発信することにより、農水産業の発展にも貢献できるものと考えております。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界の航空需要は大きく減少しておりますが、国際航空運送協会(IATA)は、世界の工業生産や輸出入などがすでにコロナ前の水準に達していること、今後、世界的にワクチンが普及する見込みであることなどを踏まえ、2023年にはコロナ禍前の水準まで回復するとの見通しを示しております。
 新型コロナウイルス感染症が収束した際には、必ずや成田空港も活気を取り戻し、世界中の人々が行き交う空港として更なる成長を果たしていくものと信じております。そして、成田空港とともに発展を遂げた本市としましては、将来のまちづくりと密接に関連する「成田空港の更なる機能強化」の推進が着実に図られるよう取り組むとともに、騒音地域にお住まいの皆さまの生活環境の保全との両立が図られるよう、関係機関との連携を更に深めながら騒音対策に努めてまいります。
 今後も空港とともに持続的な発展を目指し、成田空港の更なる機能強化等に伴う新たな開発需要や人口増加に適切に対応していくため、吉倉地区周辺における新駅の設置や、新たなまちづくりなど都市機能と住環境の整備に取り組んでまいります。
 本年も、新型コロナウイルスと共存していかなければならない現状において、市民の暮らしを守り、活力と安心を取り戻すことができるよう、市民の皆さま、議員各位のご協力のもと、ワクチン接種をはじめとする感染拡大防止対策はもとより、経済活動と支援策を積極的に展開し、市民が希望を持ち、安全、安心に暮らせる「まち」の実現を目指し、市政運営に全力で取り組んでまいります。

 さて、本市の財政は、空港関連税収をはじめとして、景気に左右されにくい固定資産税を基調に全国有数の財政力を堅持し、各種財政指標からも判断されるように財政の健全性が維持されているものの、歳入面においては、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、市税収入がコロナ禍前の水準に回復するには、時間を要する状況であります。
 一方、歳出面においては、将来を見据えて取り組んでいるまちづくりや高齢化対策、子育て施策の拡充などにより、公債費や扶助費などの義務的経費が増加傾向に、また、公共施設の長寿命化や更新を行うに当たり多額の財政負担が見込まれることなどから、より一層の効率的な財政運営が求められております。
 このような中、令和4年度の予算の編成においては、財政調整基金をはじめとする各種基金の活用により、市民サービスの維持・拡大を図ったところであります。
 また、総合計画 「NARITAみらいプラン」に掲げた「住んでよし 働いてよし 訪れてよしの 生涯を完結できる空の港まち なりた」の実現に向け、事業の選択と集中を行うことにより、限られた財源を重点的かつ効率的に配分し、市民サービスの向上や新たなまちづくりに積極的に取り組むとともに、アフターコロナを見据え、観光業、商工業、農業に対する経済対策などを強力に推進することにより、一般会計では、 対前年度比2パーセント増の624億円、特別会計及び地方公営企業会計を加えた全体では、2パーセント増の約948億円の予算を編成したところであります。

 それでは、令和4年度の本市における主要な施策の概要について申し上げます。
 まず、アフターコロナに向けた経済対策と生活支援施策、及び、社会状況に対応した施策であります。
 新型コロナウイルス感染症の流行は、国内外からの観光客の減少等に伴う社会経済活動の停滞をもたらすなど、市内事業者の皆さま、空港関連従事者の皆さまをはじめ、市民の皆さまの生活に大きな影響を与えました。そして、長きにわたるコロナ禍での制限された生活を通して、あらためて、まちのにぎわいと活力が、人々の心を豊かにするものであることを実感したところであります。
 そこで、社会全体に漂う閉塞感を打破するとともに、疲弊した地域経済を下支えするための経済対策と市民生活の支援、さらに、社会状況に応じた施策を積極的に展開することにより、市民の皆さまと一丸となってコロナ禍を乗り越えていく所存であります。
 まず、経済対策といたしまして、観光施策では、本市の主要観光行事である成田太鼓祭、成田祇園祭、成田伝統芸能まつり、及び成田弦まつりの三年ぶりの開催に向け、今まで以上の盛り上がりとなるよう、関係団体と連携しながら、内容の充実について支援を行ってまいります。また、成田祇園祭開催にあわせた山車人形展のほか、秋の成田伝統芸能まつりに加え、新たなイベントとして、5月に成田市御案内人・市川海老蔵丈のご協力をいただきながら、「歌舞伎のまち ナリタ」をPRするため、「成田伝統芸能まつり 春の陣」を実施してまいります。
 次に、商工業振興施策といたしまして、市内での消費を喚起し、売り上げが減少している市内事業者を支援するため、第3弾の「なりた地域応援プレミアム付商品券」を発行いたします。
 次に、スポーツツーリズムの推進といたしまして、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、アイルランドパラリンピック委員会との友好関係を思い出し、本市が共生社会の実現を再確認する記念日とした8月18日からの一週間を、本市における共生社会ウィークと位置付け、パラスポーツ体験会などの各種事業を展開するとともに、ホストタウンであるアメリカやアイルランドに加え、東京オリンピックにおいて事前キャンプを実施したカナダやオランダ、オーストラリア、スロベニアとの交流を継続してまいります。
 また、五月に開催される障がい者立位テニスの世界大会などを通じた、共生社会の実現に向けた意識の醸成や、8月の全日本女子硬式クラブ野球選手権大会、11月の宝くじスポーツフェアドリームベースボールの開催など、魅力あるスポーツ大会の誘致に積極的に取り組んでまいります。
 続きまして、市民生活への支援施策でありますが、まず、子育て世帯への支援といたしまして、子どもの保健対策の充実を図るとともに、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、現在、中学校3年生までとなっております、子ども医療費助成の対象を本年4月から、高校生相当年齢の子どもまで拡充してまいります。また、学校給食につきまして、市立の小中学校等に通う第3子以降の 児童・生徒の給食費を無料とし、保護者の経済的負担の軽減を図ってまいります。
 次に、農業施策についてでありますが、長引く新型コロナウイルス感染症の影響による外食産業の消費減退や、食生活の多様化などに伴う主食用米の需要減少によって米価が大幅に下落したことに加え、原油価格や肥料価格の値上げも重なり、農業経営に大きな影響を及ぼしております。
 このことから、本市では、米の需給と価格の安定を図るため、大豆・麦や加工用米、飼料用米への作付け転換などにより、需要に応じた主食用米の生産を推進するとともに、認定農業者及び営農集団に対し、機械施設の導入にかかる支援を拡充することにより、生産コストの削減による農業 所得の向上に努めてまいります。
 続きまして、社会状況に応じた施策でありますが、まず、交通安全対策といたしまして、近年、高齢ドライバーによる悲惨な交通事故が全国で後を絶たないことから、高齢者による事故を未然に防止するため、自主的に運転免許証を返納した高齢者に対して、一万円相当の交通系ICカードを交付することにより、自主返納を促進する取り組みを行ってまいります。
また、地域の生活に密着した道路につきまして、通学路の安全対策にかかる予算の拡充を図るなど、地域の課題に応じた必要な改善に努めてまいります。
 次に、介護施策といたしまして、介護職員の業務を支援する介護ロボット導入のための補助制度を新たに創設し、介護職員の負担軽減と労働環境の改善を図ってまいります。
 次に、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すゼロカーボンに向けた取り組みといたしまして、住宅用太陽光発電システムなどの設置に対する補助の継続に加えて、新たに、電気自動車及び充放電設備の導入に対する補助を行うほか、商店会が設置している装飾街路灯のLED照明への更新に対する支援を行ってまいります。また、公共施設への太陽光発電設備等の整備を引き続き推進するとともに、庁用車の更新にあわせて電気自動車を新たに導入するなど、脱炭素化社会の実現に向けて、省エネルギー化及びCO2排出量の削減に積極的に取り組んでまいります。
 コロナ収束後の本市の新たなステージを見据え、市民の皆さまの暮らしを守り、希望を持って前に進んでいくことができるよう、これらの経済対策や支援策などを積極的に展開することにより、まちのさらなる活性化と安心・安全の実現につなげてまいります。
次に、成田空港の更なる機能強化についてでありますが、発着回数をはじめとする空港の運用状況については、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けておりますが、更なる機能強化は、中長期的な航空需要に対応するために必要な施策として取り組みが進められ、昨年12月には、空港会社より、B滑走路の延伸、C滑走路の新設に向けた滑走路整備計画が示されたところであります。
国においても「2030年 訪日外国人旅行者6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円」の目標を堅持するとしており、我が国の成長戦略の一環としても、更なる機能強化は着実に進める必要があるものと考えております。
本市といたしましては、将来的な発着回数の増加を見据え、引き続き関係機関と連携しながら、騒音地域の皆様のご意見を踏まえた地域振興策の実現に向けて取り組むとともに、騒音対策の推進や騒音地域における生活環境の保全に向けた施策についても、積極的に取り組んでまいります。
 次に、新生成田市場についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の中においても、日本の農水産物はアジアをはじめとする海外で根強い人気があり、2021年の農林水産物・食品の輸出額は、初めて1兆円に到達しました。
本市といたしましては、これを絶好の機会と捉え、市場関連事業者だけでなく、空港関連企業などとも、事業者間の垣根を越えて連携し、新生成田市場の取り組みや、地域の農水産物の美味しさに関する情報の発信を積極的に行うことで、本市をはじめとする日本の農水産業の発展に貢献してまいります。
 また、海外からも高い評価を受けている日本の食文化を、空港を利用する国内外のお客様などが気軽に楽しめる集客施設につきましても、できるだけ早期に整備することにより、食によるにぎわいの創出も図ってまいります。
 次に、開学から7年目を迎える国際医療福祉大学 成田キャンパスについてでありますが、本年4月には医学部の1期生が6年次となり、世界各国の大学や医療機関での海外臨床実習が行われる予定であるほか、医師国家試験に向けて、6年間の学修の総括講義が実施されます。
また、新たな入学生を迎えることで医学部も全学年が揃い、成田キャンパスで学ぶ学生数は2,500名ほどとなることから、若い力による 地域の活性化がより一層期待されるところであります。
 さらに、コロナ禍に開院を迎え、市民の皆さまに大きな安心をもたらしている国際医療福祉大学成田病院は、徐々に入院、外来者数が増加し、 現在、市内はもとより、千葉県北東部の幅広い地域や、茨城県南部の医療機関とも連携し、1日平均900名を超える外来患者を受け入れるなど、地域医療に目覚ましい貢献を果たしています。また、医療職をはじめとする職員の数も1,100名を超え、今後も、フルオープンとなる全642床の稼働に向けて準備が進められているところであります。
 このことから、本市といたしましても、大学及び附属病院との連携・協力関係をさらに深めるとともに、医療業界を取り巻く動向にも注視しつつ、将来的な医療関連産業の集積に向けた調査についても引き続き進めてまいります。

  • 成田市上空図
  • 市長

安全・安心でうるおいのある生活環境をつくる

 続きまして、総合計画「NARITAみらいプラン」に掲げました6つの基本方向に沿って、主な基本施策の概要について申し上げます。

  まず、防災施策についてでありますが、自然災害からの被害を最小限にとどめるため、急傾斜地や崖地の崩壊対策、治水対策、建築物の耐震化、上下水道施設の更新等による安全・安心なライフラインの確保などの防災・減災対策を総合的に推進し、災害に強いまちづくりを進めるとともに、災害危険区域や避難所等をわかりやすく地図上に示した防災マップの更新を行い、市内全世帯への配付を進めてまいります。
 また、航空機騒音地域における防災行政無線につきまして、引き続きデジタル波に対応した戸別受信機への更新を行い、災害時等の市民への情報伝達体制の整備を進めてまいります。
 次に、消防体制についてでありますが、地域防災の中核的な役割を担う消防団は、市民の皆さまの安全・安心を確保するうえで大変重要な役割を果たしております。このことから、消防団員の出動手当と年額報酬を見直すなど処遇改善を図るとともに、引き続き消防団の組織体制の充実強化を推進してまいります。
 次に、環境施策についてでありますが、まず、脱炭素社会の実現に向け、ゼロカーボンシティを目指すうえで道筋を示す計画となる環境基本計画の見直しを行うとともに、地球温暖化対策を市民及び事業者の皆さまとの協働により推進し、持続可能で地球環境にやさしいまちづくりを進めてまいります。
 次に、ごみ減量化対策についてでありますが、循環型社会の構築を目指し、ごみの発生抑制、再使用、再生利用の3Rを進めるため、ごみ処理の適正化やごみの減量化・再資源化に取り組んでまいります。
 次に、環境衛生施設の整備についてでありますが、成田浄化センターにつきましては、し尿及び浄化槽汚泥の処理体制を安定的に確保していくため、老朽化した現施設の再整備に向けて取り組んでまいります。また、新清掃工場関連付帯施設につきましては、早期整備に向けて、事業の進捗を図ってまいります。さらに、いずみ聖地公園において、少子高齢化や核家族化の進行などにより 多様化する墓地需要に対応するため、引き続き、合葬式墓地の整備を進めてまいります。
  • 消防団員活動の様子

健康で笑顔あふれ、共に支え合う社会をつくる

 2つ目は、『健康で笑顔あふれ、共に支え合う社会をつくる』についてであります。
 国では、全国的な待機児童の解消を目指し、女性の就業率の上昇を踏まえた保育の受け皿整備、地域の子育て資源の活用を進めるため、「新子育て安心プラン」を策定し、令和6年度末までに、全国で約14万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童を解消することを目標に取り組むとしております。
 本市におきましても、安心して子どもを産み育てられる環境整備の推進が必要不可欠であり、最重要課題の一つである待機児童対策につきましては、本年4月に、私立による、本市初の幼保連携型 認定こども園と、認可保育所から移行する保育所型 認定こども園が開園する予定であり、新たに保育の受け皿が確保されることで、待機児童の解消に向けて大きく前進するものと期待しております。
 また、公立保育園につきましては、松崎保育園の移転に取り組むなど、老朽化が進んでいる郊外の保育園について、安心・安全な保育環境の向上に資するため、順次、再整備を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、地域型保育事業所などの健全な運営を促進する支援を行うとともに、「なりた手当」の支給や月額給与の3%程度の引き上げによる 保育士の処遇改善を行うなど、保育環境の充実に努めてまいります。
 また、児童ホームにつきましても、八生児童ホームを改修し、本年4月から定員を拡大するとともに、待機児童が発生している平成児童ホーム及び久住児童ホームにおいて、定員の拡大を図るため増築を進めるなど、待機児童の解消に向けて取り組んでまいります。
 次に、母子保健についてでありますが、妊娠期から出産・子育て期にわたり、切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センターの産後ケア事業では、産院等に宿泊して支援を受ける短期入所型につきまして、昨年10月から、新たに市内の産科医療機関での利用も可能となり、より身近な場所での利用ができるようになりました。今後も、対象となる産科医療機関の拡充に努めるなど、子育て世代への支援体制の充実を図ってまいります。
 次に、がん患者等への支援についてでありますが、新たに、がん治療に伴う外見の変化を補うためのウィッグや、胸部補整具の購入等に要する費用の一部を助成することにより、がん患者の精神的・経済的な負担を軽減するとともに、療養生活の質の向上を図り、就労継続などの社会参加の支援に努めてまいります。また、小児がん等の治療により、すでに接種が済んでいる定期予防接種の免疫が低下または消失したため、再接種が必要と医師に判断された場合に、再接種に係る費用を助成することにより、免疫獲得と保護者への経済的支援を行うとともに、社会参加の促進を図ってまいります。
 さらに、子宮頸がんの原因となる感染を予防するために、定期接種の対象となっているワクチンにつきまして、国において、本年4月より積極的勧奨を再開するとしたことから、本市におきましても、有効性や安全性、副反応などの情報を対象者にお知らせし、予防接種を受ける機会の提供に努めてまいります。
 そして、新型コロナウイルスワクチン接種についてでありますが、本市では、昨年から、希望する市民の皆さま全員が、早期に接種を終えることができるよう、全力で取り組んでまいりました。その結果、現在では85%以上の方の2回目接種を終了しているところであります。
 そのようななか、本市におきましては、国が示した対応方針に基づき、昨年12月から医療従事者等への3回目接種を開始し、現在は、高齢者等への接種を順次進めております。今後も、5歳から11歳への接種も含め、引き続き、万全の接種体制を整え、希望する市民の皆さまが安心・安全に接種できるよう対応してまいります。
 次に、福祉施策についてでありますが、まず、認知症や、知的障がい・精神障がいなどにより判断能力が十分ではない人の権利擁護支援の役割を担う「成田市成年後見支援センター」を設置し、誰もが住み慣れた地域で、いつまでも安心して暮らせるよう支援をしてまいります。
 また、高齢者等の介護を支える人材が不足していることから、引き続き介護職員の資格取得のための費用助成や、定着を支援する「介護版なりた手当」の支給を行うことで介護人材の確保・定着を図ってまいります。
 次に、介護保険事業についてでありますが、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年、さらには、団塊ジュニア世代が 65歳を迎える2040年を見据え、誰もが住み慣れた地域で元気で生きがいをもって暮らしていけるよう、健康寿命の延伸の観点から、 「なりた いきいき百歳体操」をはじめとする地域の介護予防活動や、認知症や運動機能の低下などを予防する総合的なプログラムを取り入れた、新しい介護予防教室の取り組みの充実を図ってまいります。また、医療と介護を必要とする方を支援するための在宅医療・介護連携事業や、移動スーパーなどの買い物支援事業等を通じた生活支援体制の充実強化を図るなど、本市の地域包括ケアシステムのさらなる推進に取り組んでまいります。
  • 健康で笑顔あふれ、共に支え合う社会をつくる

地域文化を生かし、未来を担う心豊かな人材を育む

 3つ目は、『地域文化を生かし、未来を担う心豊かな人材を育む』についてであります。
 「人生100年時代」、「超スマート社会」に向けて社会が大きな転換点を迎える中、新型コロナウイルス感染症の流行など、予測困難な時代にありますが、教育は地域づくりの礎であり、地域づくりは人づくりという認識のもと、学校教育・生涯学習の充実を図ってまいります。
 まず、学校教育に関する施策を総合的に推進するため、「輝くみらいNARITA教育プラン」に基づき、子どもたちの個々の能力を伸ばし、将来に夢と希望を持ち、自分の進むべき道を切り拓く力を育む教育を推進してまいります。
 また、学校の内外で様々な困難を抱える児童・生徒が安心して学校生活を過ごせるよう、教育委員会内にスクールソーシャルワーカーを配置するなど、関係機関との連携を図りながら、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、教育環境の充実につきましては、一人1台の学習用端末や高速ネットワークなどの情報通信技術、いわゆるICTを活用した効果的な 教育を進めていくとともに、教員が授業を円滑に行うためのサポートと負担軽減を図ってまいります。
 次に、学校施設の整備につきましては、児童数が増加している平成小学校について、校舎の増築工事を進めるとともに、一時的な教室不足に対応するため久住小学校に仮設校舎を整備します。また、施設の老朽化が進む玉造小学校 及び中台小学校の長寿命化改修工事を実施してまいります。
 次に、学校給食施設につきましては、親子方式による平成小学校学校給食共同調理場の運用を開始するとともに、老朽化した学校給食センター本所の愛光園跡地への移転再整備を進めてまいります。
 次に、図書館につきましては、地域を支える情報拠点として、紙媒体だけでなく、電子書籍など多様なメディアによる資料を幅広く収集・提供するなど、サービスの充実を図ってまいります。
 また、老朽化が進む中央公民館及び図書館本館を含めた赤坂センター地区における土地利用につきまして、将来の人口構造や市民ニーズの変化、全市的な公共施設の配置バランスなどを踏まえ、さらにはバリアフリー化への対応も考慮しつつ、総合的に検討してまいります。
 次に、文化財の保存についてでありますが、本年4月から旧滑河小学校の校舎を文化財保存展示施設として供用を開始いたします。
 次に、文化芸術の振興についてでありますが、一人ひとりに感染対策の実践が求められる中、文化や芸術が、生活に潤いや安らぎをもたらし、心豊かな日常の営みに不可欠なものであると再認識したところであり、優れた芸術や伝統文化を幅広く紹介し、市民の皆さまが楽しみながら 文化芸術に親しむ機会の提供に、引き続き努めてまいります。
 また、文化芸術活動の拠点であります国際文化会館の改修工事を実施し、市民の皆様に安全かつ快適にご利用いただけるよう施設環境の整備に 取り組んでまいります。
 次に、スポーツ施設の充実についてでありますが、スポーツツーリズムの推進及び市民の健康増進を図るため、東小学校跡地を活用した、 パークゴルフ場を中心とする複合施設の整備や、中台運動公園陸上競技場の改修など、誰もが生涯にわたって気軽にスポーツに親しみ、楽しむことができる環境を整えてまいります。
  • タブレットを活用した授業の様子

空港の機能を最大限に生かし、魅力的な活気あふれる都市をつくる

 4つ目は、『空港の機能を最大限に生かし、魅力的な活気あふれる都市をつくる』についてであります。
 成田空港につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、国際路線を中心に航空需要が大幅に減少しておりますが、コロナ収束後における航空需要の増大を見据え、騒音地域と空港が共に持続的に発展していけるよう、「地域の発展」と「空港の発展」が好循環する地域づくりが求められております。
 成田空港の更なる機能強化にあたりましては、騒防法の新たな告示に伴い、各種防音工事助成における対象区域の拡大や、制度の拡充が図られており、関係機関と協力しながら、引き続き防音工事の推進に取り組むとともに、生活環境の保全に向けた騒音対策の一層の充実に努めてまいります。また、騒音地域の地域振興策につきましては、地域の皆様のご意見をお伺いしながら、地域の特性や要望等を踏まえて検討してまいります。
 次に、都市基盤整備についてでありますが、更なる機能強化による空港周辺地域への波及効果を最大限に受け止めるため、新たな開発需要や 人口増加に適切に対応した良好な都市機能と住環境の整備を図るとともに、スマートインターチェンジ構想による空港周辺の産業促進及び物流機能の強化に向けた都市基盤の整備を図るため、吉倉・久米野地区、不動ヶ岡地区及び東和田南部地区における組合施行の土地区画整理事業の実施に向けて、引き続き支援してまいります。
 また、道路整備につきましても、将来の交通需要の増加を見据えつつ、広域道路ネットワークの強化による空港周辺地域の発展と利便性の向上を図るため、骨格となる幹線道路の整備を進めるとともに、新たな交通結節点となるスマートインターチェンジの設置に向けた取組を継続してまいります。
 次に、JR成田駅西口 駅前の市有地の活用についてでありますが、土地の高度利用等を図り、駅前にふさわしい、にぎわいと魅力を創出するとともに、駅周辺のバリアフリー化を推進し、市民の皆さまの利便性の向上に資する施設の整備に 向けて取り組んでまいります。
  • 成田空港

活力ある産業を育て、にぎわいや活気を生み出すまちをつくる

 5つ目は、『活力ある産業を育て、にぎわいや活気を生み出すまちをつくる』についてであります。
 本市においても、新型コロナウイルス感染症の影響により、観光産業は大きな打撃を受け、大変厳しい状況が続いておりますが、ワクチンの普及などにより期待される観光需要とともに、地域経済をはじめとする「まち」のにぎわい回復に向けて、成田山新勝寺、及び表参道を核とした魅力ある様々なイベントを開催するなど、さらなる観光施策を推進してまいります。
 また、観光振興のための体制整備として、宿泊施設のバリアフリー化に対する補助を継続して実施することにより、共生社会実現に向けた取り組みを図ってまいります。
 そして、引き続き、戦略的かつ効果的な情報発信として、観光キャラクター「うなりくん」の高い知名度や、SNS広告などを活用した情報 発信を積極的に展開するなど、本市のシティセールスに努めてまいります。さらに、ふるさと納税ポータルサイトを拡充し、特色ある地場産品や体験メニューなどを紹介することで、成田ブランドのPR強化にも取り組んでまいります。
 次に、商工業振興についてでありますが、成田空港の更なる機能強化や、圏央道、北千葉道路などの広域交通ネットワークの整備の進展などにより、今後、医療関連産業や物流関連施設等の企業立地が見込まれることから、昨年4月に拡充した企業立地制度に基づき新たな企業の誘致を図るとともに、既存企業の事業拡大に伴う再投資を支援することで、本市への企業の立地をさらに促進し、産業の振興と雇用の創出を図ってまいります。
 次に、農業行政についてでありますが、農業従事者の高齢化や担い手不足などが深刻となっている現状を踏まえ、持続可能な力強い農業を実現するため、地域農業における中心経営体や地域農業のあり方を明確化した「人・農地プラン」の策定を積極的に推進し、地域農業の問題を集落で解決できるような組織の育成を図ってまいります。
 また、地域ぐるみで農地の適切な保全管理を行う共同活動に対する支援や農道、農業用排水路の計画的な整備を一体的に行い、担い手農家の 負担を軽減することで、農地の集積・集約化に取り組んでまいります。
 さらに、台風などの自然災害が及ぼす森林の倒木等による、道路や電線などの重要インフラ施設への被害の未然防止・軽減のため、災害に 強い森林づくりを推進してまいります。
  • うなりくん

市民サービスを充実させ、持続可能な自治体運営を行う

 6つ目は、『市民サービスを充実させ、持続可能な自治体運営を行う』についてであります。
 少子高齢化やデジタル社会の進展に加え、新型コロナウイルス感染症による価値観の変化や多様化など、地域社会を取り巻く環境が大きく変容している中、本市が今後も持続的に発展を続けていくためには、市民ニーズを的確に捉えるとともに、「成田らしさ」を発揮した魅力あるまちづくりを推進し、より戦略的かつ実践的な行財政運営を行っていくことが求められています。
 そのような中、本市の総合的かつ計画的な行政運営を図るための指針である総合計画「NARITAみらいプラン」につきまして、将来都市像の実現に向けての集大成となる、令和6年度からの4年間を計画期間とした第3期基本計画の策定に取りかかります。
 また、本市の地域特性や優位性を生かした地方創生に資する施策を戦略的かつ加速的に推進することにより、魅力的で活気あふれるまちづくりを進めるとともに、企業版ふるさと納税を活用した自主財源の確保を図ってまいります。
 次に、行政改革についてでありますが、本年4月からスタートする新たな行政改革推進計画では、昨年6月に実施した行政手続などにおける押印等の見直しも踏まえ、行政のデジタル化を今後3か年で重点的に推進することとしており、電子申請手続きの拡大をはじめ、AI・RPAなどのデジタル技術を取り入れることで、人々の生活をより良くすることを目指したデジタル・トランスフォーメーションの推進に積極的に取り組むとともに、デジタル化社会の基盤となるマイナンバーカードの普及を促進し、市民の利便性の向上、行政運営の簡素化・効率化、コストの削減などを図ってまいります。
 また、持続可能な財政基盤の強化といたしまして、新たな自主財源確保策として、中台運動公園、大谷津運動公園、及び文化芸術センターに施設命名権制度を導入いたします。
 さらに、公共施設の有効活用といたしまして、昨年3月末に閉校した大栄地区の5つの小学校につきまして、地域の要望を踏まえたうえで、行政需要への対応や民間事業者の活用など、新たな利活用について検討してまいります。

 以上、市政に臨む私の所信の一端と、令和4年度の主要施策の概要を申し上げました。

 現在、北京オリンピック冬季大会が開催中であり、日本選手のオリンピックに臨むそれぞれの姿勢が様々なドラマを生んでおり、私達に大きな 感動をもたらすとともに、多くの人たちに夢や希望を与えてくれています。
 中でも特に印象に残ったのは、スキージャンプの高梨沙羅選手です。混合団体戦で1回目 103メートルの大ジャンプを披露しましたが、まさかの失格となりました。通常の精神状態ではない 失意の中、仲間を信じて2回目のジャンプに挑戦し98.5メートルの大ジャンプを成功させた精神力に感動しました。そして、スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢選手は、最高難度のトリプルコーク一四四〇 という大技を成功させながら思った通りの評価点が出ず、こみ上げる怒りを集中力に変えて3回目の演技に臨み見事金メダルを獲得し、日本中を歓喜させてくれました。
 私も両選手の果敢な挑戦に負けぬよう、我がふるさと成田の未来が、夢や希望に満ち溢れた輝かしいものとなるよう、たゆまぬ努力と情熱により市民の皆さまのニーズや課題を的確にとらえ、柔軟な発想で、将来を見据えた施策に果敢に取り組んでまいります。
 結びに、議員各位並びに市民の皆さまのご支援とご協力を重ねてお願い申し上げまして、令和4年度の施政方針といたします。
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