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更新日:2021年4月1日

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令和3年施政方針(令和3年3月定例市議会)

 施政方針を申し上げる前に、新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、医療・福祉関係者の皆さまの並々ならぬご努力・ご尽力をはじめ、市民の皆さまのご理解とご協力に対しまして、心より感謝を申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、緊急事態宣言が延長されるなど、市民・事業者の皆様には、大変不安に感じられているとともに、ご不便をおかけしています。感染の拡大を抑え一日も早く収束に向かうためには、市民の皆さまと一丸となって感染予防に取り組むことが重要であります。一人ひとりの生命と健康を守るため、そして、必要な方に必要な医療を提供出来るよう医療現場の崩壊を防ぐために市民の皆様には、あらためて、手洗いやマスクの着用、3つの密の回避、こまめな換気など、基本的な感染症防止対策の徹底をお願いいたします。
 本市といたしましても、「新型コロナウイルスワクチン接種対策室」を設置し、ワクチン接種に向けて準備を進めております。ワクチン接種をはじめとする感染拡大防止の取り組みに全力を注ぎ、市民の皆さまの生命と暮らしを守るとともに、地域経済の回復に向け取り組んでまいりますので、何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 それでは、令和3年3月市議会定例会の開会に当たり、令和3年度の施政方針と所信の一端を申し上げ、議員各位、並びに市民の皆さまのご支援とご協力をお願い申し上げる次第であります。
 さて、私が平成19年1月に市長に就任してから、未来を見据えた、次世代に誇れるまちづくりを積極的に推進し、「住んでよし 働いてよし 訪れてよし」の生涯を完結できるまちの実現に向けて、全身全霊を捧げて市政運営に取り組んでまいりました。
 昨年は、世界規模で新型コロナウイルス感染症が広がり、国内においても依然として収束の目途が立たない状況が続いております。市民の皆さまには、多くのご心配とご不便をおかけした1年でありましたが、皆さまの暮らしを守り、活力と安心を取り戻すことができるよう、議員各位のご協力のもと、本市独自の支援策を積極的に展開いたしました。
 4月には、外出自粛要請や休業要請などに伴う社会経済活動の停滞により、深刻な影響を及ぼした市民生活や地域経済の状況を少しでも改善できるよう、支援策の第1弾として、子育て世帯への臨時給付、市内中小企業や個人事業主への緊急支援給付金の支給、市内医療機関への助成という3本を柱とする支援を行いました。
 そして、6月には、第2弾として、地域経済の活性化を目的としたプレミアム付商品券や、日常生活を取り戻すきっかけとしてもらうための高齢者支援商品券の発行、ひとり親世帯や介護サービス事業者など、影響を大きく受けている家庭や事業者への支援を行いました。
 さらに、10月には、第3弾として、高齢者へのPCR検査費用の助成、インフルエンザ予防接種費用の助成拡大、迎春対策として電子マネー「PayPay」と連携したポイント付与のキャンペーン、市内の病院などに勤務する医療関係者や、介護サービス事業所及び障がい福祉サービス事業所に勤務する職員への慰労金、売り上げが一定程度減少した障がい者の就労継続支援 B型事業所に通所している利用者等への工賃応援金の給付を行いました。
 また、コロナ禍において、全国的に多くのイベントや行事が中止となる中、本市で9月に開催しました県内最大級のご当地キャラクターイベントとなる「ご当地キャラ成田詣」では、YouTubeによる生配信や、市川海老蔵丈とのオンライン対談を行うなど、感染症対策、そしてコロナ禍における新しいイベントの形として、本市から全国各地の皆さんに元気をお届けできたものと確信しております。
 こうして振り返りますと、昨年は新型コロナウイルス感染症への対応に終始した1年でありましたが、2021年は、希望を持って前に進んでいくことができるよう、市民の皆さまのご理解とご協力をいただきながら、現在の状況を打開し、目に見えないウイルスとの戦いに打ち勝つ年としなければなりません。
 本年は、延期となりました東京オリンピック・パラリンピックが開催される年であるとともに、本市におきましても成田山奥之院の大日如来(だいにちにょらい)の祭礼である成田祇園祭が三百年を迎える記念すべき年となることから、成田祇園祭の関連イベントによる各種記念行事を実施し、オリンピック・パラリンピックの盛り上がりとの相乗効果により、観光客の誘致につなげてまいります。そして、これらを契機として、本市の更なる発展のため、成田空港を活用した観光施策をはじめ、吉倉地区周辺の新たなまちづくりや、卸売市場の移転再整備などに積極的に取り組んでまいります。
 また、成田空港においては、これまで航空旅客数が2014年から6期連続で最高値を更新し、利用者数は増加の一途をたどっておりましたが、昨年は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う出入国 制限等により過去最低となりました。
 しかし、これまでも、我が国においてはSARSコロナウイルスや東日本大震災など、幾度となく大きな困難に直面しましたが、その都度、人々の英知と努力によりこれらを克服し、結果的には一定の期間が経過すると航空需要は回復し、その後さらに発展を遂げております。今後、コロナ禍が収束した際には、必ずや成田空港も活気を取り戻し、将来的には、世界中の人々が集い行き交う国際空港として、更なる成長を果たしていくものと信じております。
 そして、成田空港とともに発展してまいりました本市としましては、将来のまちづくりと密接に関連します成田空港の更なる機能強化につきまして、騒音地域にお住まいの皆さまの生活環境の保全を図りつつ、その実現に向けて着実に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症と共存をしていかなければならない現状において、本市としましても工夫をしながら、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図るための施策を一層推進し、市民の皆さまが希望を持ち、そして安全、安心に暮らせる「まち」の実現を目指し、市政運営に全力で取り組んでまいります。
 さて、本市の財政は、空港関連税収をはじめとして、景気に左右されにくい固定資産税を基調に全国有数の財政力を堅持し、財政の健全性は確保されているものの、歳入面においては、短期的には新型 コロナウイルス感染症拡大の影響による個人所得の減少や企業収益の悪化に伴い、個人及び法人市民税の大幅な減収が見込まれております。
 一方、歳出面においては、将来を見据えて取り組んでいるまちづくりや高齢化の進行、子育て施策の拡充などにより、公債費や扶助費などの義務的経費が増加傾向に、また、公共施設の長寿命化や更新を行うに当たり多額の財政負担が見込まれることなどから、より一層の効率的な財政運営が求められております。
 このような中、令和3年度の予算の編成においては、市税及び交付金等をあわせて約30億円の大幅な減収が見込まれたことから、財政調整基金をはじめとする各種基金をフル活用し、市民の皆さまの暮らし・健康を守るなど、市民サービスの維持・拡大を図ったところであります。
 また、総合計画「NARITAみらいプラン」に掲げた「住んでよし 働いてよし 訪れてよしの生涯を完結できる空の港まち なりた」の実現に向け、事業の選択と集中を行うことにより、限られた財源を重点的かつ効率的に配分し、新型コロナウイルス感染症対策、将来を見据えたまちづくり、市民サービスの更なる向上を3本柱として、一般会計では、対前年度比2.5パーセント減の612億円、 特別会計及び地方公営企業会計を加えた全体では、2.9パーセント減の約929億円の予算を編成したところであります。

 それでは、令和3年度の本市における主要な施策の概要について申し上げます。
 まず、成田空港の更なる機能強化についてでありますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界の航空需要は大きな打撃を受けているところであり、成田空港においても、旅客や離着陸する航空機の減少により、ターミナルの店舗の休業や、B滑走路を一時閉鎖する事態にも陥るなど、これまで経験したことのない未曽有の事態に直面しております。
 空港会社からの報告によりますと、令和2年度通期の航空機発着回数は、前年度比63.3パーセント減の約9.5万回、航空旅客数は前年度比90.9パーセント減の約377万人の見通しとのことであります。
 こうした中においても、航空需要は以前の水準に回復するまで相当の期間を要するものの、中・長期的には伸びていくと見込まれており、訪日外国人旅行者数につきましても、国は、2030年に 6,000万人にするという目標は維持するとの方針を示しております。本市といたしましては、アフターコロナにおける航空需要の増大に対応するためにも、成田空港の更なる機能強化は必ず実現しなければならないものであると考えております。
 また、本年1月には、成田空港の国際競争力を高め、更なる機能強化を最大限に生かした周辺地域の活性化を実現するため、民間事業者の参入しやすい地域づくりを目指し、空港周辺9市町を国家戦略特区に指定して土地利用や物流などに関する規制緩和を行えるよう、四者協議会の事務局を務める千葉県が、国に提案をしたところであります。
 本市といたしましては、国家戦略特区として先んじて認定されている経験を生かし、引き続き関係機関と連携し、空港周辺9市町の発展につなげるとともに、「日本の空の玄関」として、将来を見据えた空港の機能強化と生活環境の保全との調和に全力で取り組んでまいります。
 次に、国際医療福祉大学についてでありますが、昨年3月に国際医療福祉大学成田病院が開院してから、まもなく1年が経過いたします。附属病院には、642の許可病床と41の診療科に加え、質の高い医療を提供するために、国際臨床感染症センター、消化器病センター、脊椎脊髄センターなどの医療施設が開設されております。
 さらに、各医療分野でトップクラスの実績を持つ経験豊かな医師をはじめとする医療スタッフ、そして最新鋭の先進医療機器を備え、あらゆる疾患に対応できるよう、総合的な診療体制が整えられております。
 昨年から続く、新型コロナウイルス感染症の拡大による、ひっ迫した国内の医療状況の中において、附属病院の存在は本市といたしましても非常に心強いものであり、PCR検査の迅速な対応や感染病床の確保等にご協力をいただき、市民の皆さまに大きな安心をもたらしていると実感しているところであります。
 また、現在2,000名を超える学生が学ぶ、成田キャンパスでありますが、本年3月には、看護学部・保健医療学部において2期目の卒業生が輩出されることとなります。附属病院をはじめとする地域の医療機関において、看護師や理学療法士、作業療法士等の医療福祉分野の専門職としての活躍が期待されるなど、国際医療福祉大学の地域医療への貢献が更に拡大いたします。今後も地域の医療環境の充実に向けて、大学及び附属病院との連携・協力を進めてまいります。
 さらに、国際医療福祉大学成田病院の機能や医療関連産業を取り巻く環境の変化、成田空港の更なる機能強化に向けた動きなどを踏まえ、将来的な医療産業集積に向けた調査及び検討につきましても、引き続き進めてまいります。
 次に、卸売市場の移転再整備についてでありますが、日本の農水産物は新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の中においても、アジアをはじめとする海外で根強い人気があり、国は、農林水産物・食品の輸出額を2025年までに2兆円、2030年までに5兆円とする目標を掲げるなど、農林水産物の輸出拡大を我が国の成長戦略、そして地方創生の重点施策の一つとして推進しております。
 こうした中、新生成田市場は、市民の皆さまの「食の台所」としての役割に加え、衛生管理の整った加工施設や、農水産物の効率的な輸出を可能とするワンストップ輸出拠点機能を備えた日本初の卸売市場として、来年1月中旬を目途に開場する予定であり、これを契機に、事業者がそれぞれの得意分野を活かした新たなビジネスモデルに取り組んでいただけるよう意見交換会を開催するなど、新生成田市場への円滑な移行に向けた取り組みを進めているところであります。
 本市といたしましては、成田空港や東関道、圏央道などの充実した広域交通ネットワークを最大限に活用できる立地を生かし、日本全国から集められた安全・安心な生鮮食料品等を市民の皆さまに安定的に供給するといった、市場本来の機能の強化を図るとともに、国や県はもとより、卸売業者や仲卸業者、高機能物流事業者などの市場関連事業者だけでなく、空港会社や航空会社などとも事業者間の垣根を越えて連携し、日本の農水産物の輸出拠点化を進めることで、新たな付加価値を備え、将来を見据えた市場となるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、スポーツの振興についてでありますが、「スポーツで創る なりたの未来」を基本理念として掲げ、新たに策定する「成田市スポーツ振興マスタープラン」に基づき、年齢や性別、国籍、障がいの有無などに関わらず、誰もが生涯にわたって気軽にスポーツに親しみ、楽しむことができる環境を整え、スポーツ意識の醸成を図ってまいります。
 また、延期となりました東京オリンピック・パラリンピックが開催されることに伴い、本市では7月2日に聖火リレーが通過するのを皮切りに、アメリカ陸上チームやアイルランドパラリンピックチームの事前キャンプの受け入れを、市民と一体となって歓迎するとともに、国の内外から訪れる観光客や観戦客に対しても、交通案内や観光案内等の「おもてなし」を行う「都市ボランティア」を配置し、本市の観光PRに努めてまいります。
 さらに、8月の「世界少年野球大会 Girls Baseball Clinics 2021 成田大会」、10月の障がい者立位テニス全国大会の開催など、スポーツを通じた共生社会の実現やスポーツツーリズムの推進にも積極的に取り組んでまいります。
  • 成田NTの上空図
  • 小泉市長

安全・安心でうるおいのある生活環境をつくる

 続きまして、総合計画「NARITAみらいプラン」に掲げました6つの基本方向に沿って、主な基本施策の概要について申し上げます。

 1つ目は、『安全・安心でうるおいのある生活環境をつくる』についてであります。
 まず、防災施策についてでありますが、本市に 甚大な被害をもたらした令和元年の台風等の一連の災害や、九州地方を中心とした令和2年7月豪雨など、全国各地で大規模災害が頻発していることから、「成田市地域防災計画」や、新たに策定します「成田市国土強靭化地域計画」に基づき、これまでの災害の教訓を踏まえた防災・減災対策を総合的に推進するとともに、急傾斜地や崖地の崩壊対策、 治水対策としての河川整備、建築物の耐震化促進などを実施することにより、災害に強いまちづくりを進めてまいります。
 また、災害時には、市民に対して災害情報等を迅速に伝達することが重要となることから、防災行政無線 固定系設備の更新を行うとともに、現在、騒音区域において貸与している防災行政無線のアナログ波対応 戸別受信機を、デジタル波対応へと更新する取り組みを進めてまいります。加えて、増加する外国人住民の安全・安心な暮らしを守るため、「なりたメール配信サービス」の多言語化を図るなど、更なる情報伝達体制の強化に努めてまいります。
 さらに、災害時の指定避難所における新型コロナウイルスの感染対策として、間仕切りのためのパーテーションを全避難所へ配備し、安全・安心な避難所環境づくりに取り組んでまいります。
 次に、消防体制についてでありますが、地域防災活動の要となる消防団は、地域の安全・安心を支えるうえで、大変重要な存在であり、平日日中における災害出動を主な任務とする機能別消防団員を 新たに導入し、地域防災力のより一層の充実を図ってまいります。
 次に、防犯対策についてでありますが、区・自治会等が管理しています防犯灯を、低消費電力のLED照明へ一括更新し、省エネルギー化及びCO2排出量の削減を図るとともに、適正な維持管理に努めてまいります。
 次に環境施策についてでありますが、成田市環境基本計画に基づき環境保全施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。
 まず、地球温暖化対策としましては、昨年11月に、本市として地球温暖化に向き合う姿勢を示し、豊かで多様な自然環境を将来世代につなげるため、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ宣言」を表明しました。今後も、持続可能で地球環境にやさしいまちづくりに取り組み、脱炭素社会に向けて、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用をさらに推進するなど、市民・事業者との協働により、地球温暖化対策を進めてまいります。
 次に、ごみ減量化対策についてでありますが、循環型社会の構築を目指し、ごみの発生抑制、再使用、再生利用の3Rを進めるため、一般廃棄物処理基本計画に基づき、ごみ処理の適正化やごみの減量化・再資源化に取り組んでまいります。
 次に、成田浄化センターについてでありますが、し尿及び浄化槽汚泥の処理体制を安定的に確保していくため、老朽化した現施設の再整備に向けて取り組んでまいります。
 また、懸案事項となっておりました、新清掃工場関連付帯施設の整備につきましては、早期完成に向けて、事業区域を変更し、新たな整備方針を策定し、事業の推進を図ってまいります。
 さらに、いずみ聖地公園につきましては、少子高齢化や核家族化の進行などにより、多様化する墓地需要に対応するため、引き続き、合葬式墓地の整備に向けて取り組んでまいります。
 次に、水道事業についてでありますが、水道は市民生活において重要なライフラインであり、安全・安心な水道水を供給できる災害に強い水道を構築するため、引き続き基幹施設である並木町配水場の耐震化を含めた改修事業や、管路の耐震化を積極的に進めてまいります。
 また、下水道事業につきましても、老朽化した下水道施設の長寿命化を行うとともに、下水道の根幹施設である中継ポンプ場の耐震化を着実に推進してまいります。
  • 消防団員の活動の様子

健康で笑顔あふれ、共に支え合う社会をつくる

 2つ目は、『健康で笑顔あふれ、共に支え合う社会をつくる』についてであります。
 国は、全国的な待機児童の解消を目指し、女性の就業率の上昇を踏まえた保育の受け皿整備、地域の子育て資源の活用を進めるため、「新子育て安心プラン」を策定し、令和3年度から4年をかけて、全国で約14万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童を解消することを目標に取り組むとしております。
 本市におきましても、子育て世代が安心して子どもを産み育てられる環境整備の推進が必要不可欠であり、「第2期成田市子ども・子育て支援事業計画」に基づき各種事業に取り組んでまいります。
 特に、本市の最重要課題の一つである待機児童対策につきましては、本年4月に、認可保育園1園、小規模保育事業所1園が開園する予定であり、新たに109人の保育の受け皿が確保されることとなります。加えて、昨年度に引き続き、幼稚園から本市初の幼保連携型認定こども園への移行を予定している法人に対して施設整備に係る補助を行うなど、民間事業者による受け皿の更なる拡充を推進することで、待機児童の解消に向けて大きく前進するものと期待しております。
 また、公立保育園につきましても、松崎保育園の再整備にかかる基本設計を行うなど、老朽化が進んでいる郊外の保育園について、安心・安全な保育環境の向上に資するため、順次、再整備を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、地域型保育事業所などの健全な運営を促進する支援や、「なりた手当」の支給による保育士の処遇改善を引き続き行うなど、保育環境の充実に努めてまいります。
 次に、母子保健についてでありますが、保健福祉館内の子育て世代包括支援センターでは、これまでも妊娠期から出産・子育て期にわたり、切れ目のない支援を行うため、助産師などの訪問により支援を行う居宅訪問型と、産院等に宿泊して支援を受ける短期入所型の産後ケア事業を実施しておりますが、さらに本年4月からは、産後ケア事業の対象を産後4か月未満から産後1年未満に拡大するなど、安心して子育てができるよう、子育て世代への支援体制の充実を図ってまいります。
 また、早期に難聴の有無を発見するため、新たに新生児聴覚検査の費用を助成するとともに、3歳児健診において、子どもが弱視となる要因を早期に発見するための検査機器であるスポットビジョンスクリーナーを導入し、疾患の早期発見、早期治療を可能とするなど、子どもたちの成長・発達の支援に努めてまいります。
 次に、予防接種についてでありますが、昨年は、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念される中、感染時の重症化を防ぐとともに、冬季の発熱患者を減らし医療機関の負担軽減を 図ることを目的として、期間を限定し、インフルエンザワクチンの接種費用の助成を拡大いたしました。令和3年度は、生後6か月から中学生までの方と、妊婦の方を対象に本市独自の助成を拡大することで、子育て世代への支援を図るとともに感染症対策に努めてまいります。
 次に、少子化対策の推進及び若者の定住促進についてでありますが、結婚に伴い本市で新生活をスタートさせたい若者を応援するため、新居の家賃や引っ越し費用などを支援し、新生活の経済的負担を軽減することで、結婚に踏み切れない若者の後押しを図ってまいります。
 将来のまちづくりの担い手である若者や子育て世代が、安心して暮らせるよう、これらの施策を積極的に推進し、本市に住み続けたいと思える魅力的なまちづくりを進めてまいります。
 次に、福祉施策についてでありますが、介護や障がい、子育て、生活困窮など、日常生活上の様々な課題や生きづらさなどがあっても、地域の相互理解のもと、住民の協力や多様な社会資源を活用するなど、地域全体で支え合い、それぞれが望む生活を送ることができる地域共生社会を構築していくことが求められております。
 そのため、複雑化・複合化する福祉課題や生活課題を包括的に受け止め、必要な支援機関につなぐ「断らない相談支援体制」をはじめ、多様で重層的な支援体制を整備することが重要であり、新たな 成田市総合保健福祉計画等に基づき、各種事業に積極的に取り組んでまいります。
 まず、認知症などにより判断能力が低下した高齢者や、知的障がいや精神障がいなどにより、判断能力が十分ではない方が安心して暮らせるよう、権利擁護支援の役割を担う中核機関となる (仮称)成年後見支援センターの設置に向け、準備を進めてまいります。
 また、高齢者等の介護を支える人材が不足していることから、介護職員の資格取得のための費用助成や、定着を支援する「介護版なりた手当」を新たに支給し、介護人材の確保・定着を図ってまいります。
 次に、介護保険事業についてでありますが、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据え、高齢者の生活支援等サービスの提供体制を構築するため、日常生活圏域における調整役を担う、第2層生活支援コーディネーターを市内全圏域に配置するとともに、高齢者の居場所づくりや、活躍の場の創出など、地域住民や関係団体等と協働して地域の支え合いの体制づくりを推進してまいります。さらに、健康寿命の延伸の観点から、認知症や運動機能の低下などを予防する総合的なプログラムを取り入れた、新たな介護予防教室の効果検証を行うことにより、介護予防の取り組みを一層充実させてまいります。
  • 生活支援コーディネーターによる地域活動の様子

地域文化を生かし、未来を担う心豊かな人材を育む

 3つ目は、『地域文化を生かし、未来を担う心豊かな人材を育む』についてであります。
 教育は地域づくりの礎であり、地域づくりは人づくりという認識のもと、学校教育に関する施策を総合的に推進するための「輝くみらいNARITA教育プラン」に基づき、子どもたちの個々の能力を伸ばし、将来に夢と希望を持ち、自分の進むべき道を切り拓く力を育む教育を推進してまいります。
 本年4月には、本市で2校目となる義務教育学校「大栄みらい学園」が開校しますが、義務教育9年間を見通し、途切れることのない一貫した指導方針のもと、子どもたちが着実に学力を身につけ、心身共に健全で、豊かな人間性と社会性を発揮できる人間として成長していけるよう、児童生徒一人ひとりのニーズや個性に応じた教育の一層の充実を図ってまいります。
 次に、よりよい学校教育環境づくりについてでありますが、児童数の減少が続く豊住小学校において、市内のどの地域からも通学が可能となる小規模特認校制度を本年4月から導入し、少人数ならではの、きめ細かな指導や地域の特性を活かした活動など、特色ある教育を推進してまいります。
 また、情報教育の充実につきましては、子どもたちの未来を見据え、創造性を育む教育環境の実現を目指すGIGAスクール構想に基づき、1人1台の端末や高速ネットワークなどの情報通信技術、 いわゆるICTを活用した効果的な教育を進めていくとともに、教員が授業を円滑に行うためのサポートと負担軽減を図るため、専門的な知識を有するICT支援員やヘルプデスクによる学校支援を充実してまいります。
 次に、学校施設の整備についてでありますが、児童数が増加している平成小学校について、仮設校舎に代わる校舎の増築工事に着手するとともに、施設の老朽化が進む八生小学校及び公津小学校の大規模改造工事を実施してまいります。また、災害時に備え、指定避難所である公津の杜中学校他2校において、太陽光発電設備の蓄電池等を整備いたします。
 さらに、学校給食施設につきましては、親子方式による共同調理場の整備を順次進めているところであり、引き続き、平成小学校学校給食共同調理場の建設工事を進めてまいります。
 次に、生涯学習の推進についてでありますが、市民一人ひとりが生涯にわたって自ら学習し、それぞれが培った様々な経験・知識・技能を地域社会に生かしていく「まちづくり」を目指して、新たに   策定する「第3次成田市生涯学習推進計画」に基づき、学びのきっかけとなる機会の提供、学校・家庭・地域が連携した体制の構築、学んだことを生かせる機会の充実などを図るため、各種事業を展開してまいります。
 次に、図書館についてでありますが、社会の変化に伴い、図書館に求められる機能も多様化し、読書支援の他にも様々な機能の充実が求められております。このことから、時代に合った図書館整備について検討を進めるとともに、新たに策定した「成田市立図書館サービス計画」に基づき、目指すべき図書館の姿を実現できるよう、サービスの充実に努めてまいります。
 また、老朽化が進む図書館や中央公民館のあり方を含め、赤坂センター地区における基本的な整備方針を検討してまいります。
 次に、文化芸術の振興についてでありますが、延期された東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典であると同時に、文化の祭典とも言われています。昨年はイベントの中止や延期が相次ぎましたが、コロナ禍においても、感染防止に創意工夫と最大限の留意を払いながら、市民の皆さまが様々な形で音楽や芸術作品を享受できる機会を提供するとともに、本市の魅力ある文化芸術を広く発信することで、心豊かな賑わいのあるまちづくりを推進してまいります。
  • 大栄みらい学園の完成イメージ

空港の機能を最大限に生かし、魅力的な活気あふれる都市をつくる

 4つ目は、『空港の機能を最大限に生かし、魅力的な活気あふれる都市をつくる』についてであります。
 成田空港につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大により、国際路線を中心に航空需要が大幅に減少しておりますが、これまでどおり、日本を 代表する国際拠点空港としての役割は変わるものではなく、本市においても、空港と共に持続的に発展していくため、「地域の発展」と「空港の発展」が好循環するまちづくりを推進していかなければなりません。
 そのような中、騒音対策についてでありますが、成田空港の更なる機能強化に伴い、昨年4月1日から、新たな騒特法・騒防法の対策区域が指定されたことにより、移転補償を受けられる地域や防音工事助成制度などの拡充が図られております。また、夜間飛行制限の変更に伴う深夜早朝対策として、先行実施しておりました寝室への内窓設置工事につきましても、対象区域がA滑走路防止地区から、B滑走路防止地区、A・B滑走路の防止地区に挟まれた谷間地域、及びA滑走路西側の防止地区外の一部地域まで拡大されており、引き続き、騒音地域にお住まいの皆さまの一層の生活環境の保全に取り組んでまいります。
 次に、都市計画についてでありますが、地域にとって望ましい公共交通のマスタープランとなる「地域公共交通計画」の策定に向け、引き続き取り組んでまいります。
 次に、都市基盤整備についてでありますが、成田空港の更なる機能強化に伴う新たな開発需要や人口増加に適切に対応していくため、吉倉地区周辺において、都市機能や住環境の整備を主体とした新たなまちづくりの実現に向けての取り組みを進めていくとともに、東和田南部地区においては、新たなスマートインターチェンジ構想を軸とした空港周辺の産業促進及び物流機能の強化に向けて、組合施行の土地区画整理事業により、都市基盤の整備が図られるよう推進してまいります。
 また、JR成田駅西口駅前の市有地の活用につきましては、官民連携による土地の高度利用等を図ることにより、駅前にふさわしい、にぎわいの創出と魅力ある施設の整備に向けて、事業の進捗を図ってまいります。
 次に、道路整備についてでありますが、成田空港の更なる機能強化に伴う将来の交通需要の増加を見据えつつ、圏央道や北千葉道路の整備、県道成田小見川鹿島港線の4車線化とも連携しながら、空港周辺の骨格となる幹線道路の整備を進めるとともに、広域道路ネットワークの強化による空港周辺地域の発展と利便性の向上を図るため、新たな交通結節点となるスマートインターチェンジの設置に向けた取り組みを行ってまいります。
 また、市道関連事業についてでありますが、「舗装修繕計画」や「橋梁長寿命化修繕計画」など、各種修繕計画に基づき計画的に修繕を行っていくとともに、道路照明につきましても、引き続き、消費電力の少ないLED照明へ更新し、省エネルギー化及びCO2排出量の削減に努めてまいります。
  • 成田空港

活力ある産業を育て、にぎわいや活気を生み出すまちをつくる

 5つ目は、『活力ある産業を育て、にぎわいや活気を生み出すまちをつくる』についてであります。
 まず、現在のコロナ禍における観光客の激減により、本市の主要な産業である観光業や飲食業をはじめとする多くの事業者の皆さまは、たいへん厳しい状況に置かれております。このような時だからこそ、更なる観光客誘致を積極的に進めていくことが重要であり、本市といたしましても、東京オリンピック・パラリンピックの開催を絶好の機会と捉え、日本に旅行を予定している人や、興味を持った人などの、いわゆる「旅前」の外国人に向けたプロモーション戦略として、SNSを活用したWEB広告を行うとともに、トランジット&ステイプログラムの充実により訪日外国人旅行者の「来成」を促進してまいります。
 また、本年は成田祇園祭が始まってから300年という記念すべき年となることから、関連する各種行事を実施し、東京オリンピック・パラリンピックの盛り上がりとの相乗効果により、更なる観光客誘致に取り組んでまいります。
 さらに、ふるさと納税のポータルサイトの拡充や、「成田市御案内人 市川海老蔵プロジェクト」の推進などにより、更なる成田ブランドのPR強化を図るとともに、「うなりくん」の高い知名度を活用し、SNSによる積極的な情報発信により本市のシティセールスに努めてまいります。
 そして、毎年多くの観光客で賑わう「成田伝統芸能まつり」や「成田太鼓祭」、「成田弦まつり」といった、本市の観光資源を活用した魅力発信を行ってまいります。
 次に、商工業の振興についてでありますが、成田空港の更なる機能強化や、圏央道、北千葉道路等の広域道路ネットワークの整備の進展などに伴い、医療関連産業や物流関連施設などの企業立地が見込まれることから、本年4月から企業誘致制度を拡充し、新たな企業の誘致を促進するとともに、再投資奨励金を新設し、既存企業の事業拡大の支援をすることにより、新たな投資を呼び込み、本市の産業振興と雇用創出を図ってまいります。
 次に、農業行政についてでありますが、少子高齢化や食生活の多様化で主食用米の需要量が減少し、米離れが加速化している中、新型コロナウイルス感染症の拡大により外食産業の消費が低迷し、主食用米が供給超過の状況となっていることから、米の需給バランスと米価の安定を図るため、需要に応じた主食用米の生産をより一層進めるとともに、効率的な水田活用による大豆・麦や加工用米、飼料用米の作付けの拡大を推進していくことで、農業経営の安定化を図ってまいります。
 また、農業従事者の高齢化や担い手不足などが深刻となっている現状を踏まえ、持続可能な力強い農業を実現するため、地域農業における中心経営体や地域農業のあり方を明確化した「人・農地プラン」の策定を積極的に推進し、地域農業の問題を集落で解決できるような組織の育成を図ってまいります。
 さらに、地域ぐるみで農地の適切な保全管理を行う共同活動に対する支援や農道、農業用排水路の計画的な整備を一体的に行い、担い手農家の負担を軽減することで、農地の集積・集約化に取り組んでまいります。
 加えて、台風等の自然災害が及ぼす森林の倒木等による、道路や電線などの重要インフラ施設への 被害の未然防止・軽減のため、災害に強い森林づくりを推進してまいります。
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市民サービスを充実させ、持続可能な自治体運営を行う

 6つ目は、『市民サービスを充実させ、持続可能な自治体運営を行う』についてであります。
 少子高齢化や情報通信技術が進展する中、本市が持続的に発展を続けていくためには、今後も、「成田らしさ」を発揮した魅力あるまちづくりを推進しながら、市民満足度を重視した行政サービスの向上が求められております。
 そのためには、市政の動きや市民生活に密着した情報を迅速かつ確実に提供することが重要であり、「広報なりた」をはじめ、ホームページ、SNSなどの様々な媒体を活用し、市民の皆さまのニーズに合わせた情報発信に努めてまいります。
 また、市内の情報格差の解消を図るため、全市普及を目指しております、ケーブルテレビにつきましても、引き続き、未視聴地域の施設整備に取り組んでまいります。
 さらに、市民サービスの更なる向上に向けて情報通信技術を積極的に活用するとともに、事務の効率化を図るため、庁内ネットワークを再構築し、執務スペースの確保や経費の削減に努めてまいります。
 限られた財源の中において、多様化する市民ニーズや行政課題に柔軟に対応しつつ、優先度や緊急性を見極め、引き続き、より戦略的かつ実践的な行財政運営を行うことにより、持続可能なまちづくりを推進してまいります。

 以上、市政に臨む私の所信の一端と、令和三年度の主要施策の概要を申し上げました。

 昨年、小惑星探査機「はやぶさ2」が難易度の高いミッションを次々とこなし、6年間、約52億4千万キロメートルに及ぶ飛行の末、小惑星「リュウグウ」で採取した石や砂が入っているカプセルを地球に届けたことは、記憶に新しいところであり、コロナ禍の中で久しぶりに日本中へ勇気を与えてくれました。
 そして、当初の計画になかった別の小惑星への新たなミッション遂行のため、片道11年の旅路に就いていきました。
 「初代はやぶさ」の経験に学び、あらゆる可能性を追求して困難を乗り越え、成功へとつなげたことは、たゆまぬ努力と新たな挑戦への大切さに改めて気づかされた出来事でありました。
 私も、我が「ふるさと成田」が、希望に満ち溢れた輝かしい未来となるよう、常に新たな課題に挑むとともに、社会変化とそれに伴う市民の皆さまのニーズを的確にとらえ、柔軟な発想で、将来を見据えた施策に取り組んでまいります。

 結びに、議員各位並びに市民の皆さまのご支援とご協力を重ねてお願い申し上げまして、令和3年度の施政方針といたします。
 
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ファクス番号:0476-24-1006

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